ロシアがウクライナに軍事侵攻して4年になった。
ウクライナ東部、南部の4州を支配下に置く蛮行はあからさまな国際法違反であり、許されない。ロシアは即時停戦に応じて和平交渉のテーブルに着くべきだ。
情勢判断の誤りで長期化
ロシアがウクライナに侵攻した理由は、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大だった。ポーランドなど東欧の旧ソ連衛星国がNATOに加盟し、旧ソ連だったバルト3国もこれに続くと、ロシアは虎視眈々(こしたんたん)と反撃の機会をうかがっていた。中でも同じスラブ人国家ながら反ロシア感情が強くNATO正面と接するウクライナの欧米への傾斜は、安全保障上の死活問題とみていたことは疑いない。
旧ソ連時代にNATO加盟国との緩衝地帯だった東欧諸国がNATOに加わり、ソ連崩壊後のロシアにとっての緩衝地帯はウクライナ、ベラルーシ、モルドバなどだ。ロシアはベラルーシとは同盟関係にあるが、ウクライナという緩衝地帯を力ずくで維持しようとしたことが、軍事侵攻という形で顕著に表れた。ソ連時代にもハンガリー動乱、チェコ事件などで戦闘車両を他国に進め影響力を維持したが、それが4年も続く戦争になったのは、ロシア側の情報判断の誤りにほかならない。
さらに国際社会の強い怒りを招き、欧米がウクライナへの武器供与に踏み切ったこと、ゼレンスキー大統領はじめウクライナ国民の独立を守ろうとする死をも厭(いと)わない決意を見誤ったことなどから、ロシアは大きな代価を払うに至っている。
米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は、ロシア軍の死傷者・行方不明者を約120万人、このうち戦死者は27万5000~32万5000人と推計している。ベトナム戦争での米国の戦死者数(約4万7000人)を大幅に超えており、CSISは「第2次大戦後のあらゆる戦争における主要国の損失を上回る」としている。
しかし、米国に並ぶ核兵器保有国であり、世界一大きな国土に豊富な資源を蓄えるロシアを厳しい制裁で屈服させるのも困難である。NATOは当初から介入を否定しており、紛争が長期化するほどウクライナで戦線が広がり、不利な状況が生まれよう。
ロシア軍に連れ去られたウクライナの子供は少なくとも約2万人に上り、帰還できたのはわずか1割ほどだ。ロシアは移送先の施設で思想教育や軍事訓練などによって、ウクライナの子供を愛国的な「ロシア兵」に育て上げようとしている。
戦闘抑え交渉に移れ
米国のトランプ政権はロシア、ウクライナ、欧州を仲介し、和平案を修正しながら交渉に臨もうとしている。難航しているものの、戦闘が激化するのを抑え、解決策を見いだそうとする努力は評価できる。
ロシアにとっては緩衝地帯の確保、ウクライナにとっては自国の安全保障を米国や欧州がどう保証するのかが焦点になる。その交渉の前提となる停戦を実現し、犠牲者を出さない環境での政治的外交的な交渉に移るべきだ。






