トップオピニオン社説施政方針演説 今こそ官民の「底力」発揮を【社説】

施政方針演説 今こそ官民の「底力」発揮を【社説】

衆院本会議で施政方針演説をする高市早苗首相=20日午後、国会内
衆院本会議で施政方針演説をする高市早苗首相=20日午後、国会内

 高市早苗首相の施政方針演説が行われた。衆院選で与党が3分の2を超す圧倒的な信任を得たのを背景にした演説は、一言で言えば「内に強く秘めた高揚感」を印象付けるものだった。「『重要な政策転換を、何としてもやり抜いていけ。』国民の皆様から、力強く背中を押していただけた」とする冒頭の決意は、同時にそれだけの負託にいかに応えるかという責任の重みを示すものでもあっただろう。

 積極性と挑戦が前面に

 概して施政方針演説や所信表明演説は多岐にわたる政策について述べるだけに「総花的」になりやすい。だが、今演説ではその根底に共通した首相の覚悟と挑戦があり、それが“総花感”を払拭して力強いものになっている。そのキーワードは「底力」である。

 首相は「日本と日本人の底力を活かし、力強い経済政策と力強い外交・安全保障政策を推し進める」と強調。中でも本丸は「責任ある積極財政」であり、「過度な緊縮志向、未来への投資不足の流れを断ち切る」とした。

 AI(人工知能)や量子技術、次世代半導体、宇宙開発など17の成長戦略分野への投資は、俗に言う「大きな政府」の発想ではない。首相は、政府が一歩前に出て官民が手を取り合って重要な社会課題の解決に向け新たな産業政策を展開するのは世界の潮流となっているとした。ここにも高市政権の積極性と挑戦への意気込みがうかがえよう。

 「高市カラー」は安保、外交にも表れている。名指しは避けながらも「(レアアースなど)サプライチェーン(供給網)上流の物資を管理下に置くことで、自国の主張に他国を従わせようとする経済的威圧の動きが顕在化している」と述べ、暗に中国の対日強硬姿勢に強い懸念を示すとともに特定国に依存しないサプライチェーンの再構築と、依存脱却のための同志国との連携を強化すると強調した。

 さらに厳しい国内外の安保環境から「わが国が自ら考えてハンドルを握り、長期的目線でどこに向かって行くのかを決めること」が必要だとした。国家のリーダーとして「羅針盤」となることへの決意である。その延長線上で国家安保戦略をはじめとする「3文書」を年内に前倒しして改定することや、首相を議長とする「国家情報会議」の創設、内閣情報調査室の「国家情報局」への格上げなど、従来にない積極的な安保機構の改革にも乗り出した。

 今年は安倍晋三元首相による「自由で開かれたインド太平洋」提唱から10年という節目にも当たる。日米安保を基軸とするのは最も重要だが、それを踏まえ重層的な安保基盤を構築しておくことは日米にとっても不可欠だろう。

 憲法改正の必要性訴えを

 強い国家そして外交力は内政の強い基盤あってこそだ。首相は「少子化・人口減少は、わが国の活力をむしばんでいく『静かな有事』」とも表現した。さらにこうした大きな政策転換や安保外交の強化は、やはり憲法改正を避けては完結できない。その点、従来の言及の域を出なかった。政府として深入りを避けたのだろうが、その必要性を国民にもっと訴えるべきだった。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »