景気の腰折れはかろうじて回避したものの、長引く物価高を背景に内需に力強さは見られない――。2025年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値が示す日本経済の現状である。
最近になり物価高に鈍化の兆しが見えてきた。高い賃上げの継続により、内需に勢いを付け持続的成長への弾みとしたい。
景気の牽引役が不在
内閣府が発表した速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・1%増、年率換算で0・2%増となり、民間シンクタンク10社による予測(平均で前期比0・4%増、年率1・6%増)を大きく下回った。
2四半期ぶりのプラス成長とはなったものの、設備投資(前期比0・2%増)や輸出(0・3%減)などが、予測(設備投資0・7%増、輸出横ばい)ほど回復しなかったためだ。
内需の柱となる個人消費の弱さは相変わらずで、予測と同じ0・1%増と小幅な伸びにとどまった。携帯電話やエアコンなどが好調で宿泊サービスもプラスに寄与したが、自動車が減少し、価格高騰が続いた食料品がマイナスで衣服への支出も減った。コメの高止まりなど食料品を中心とした物価高が家計を圧迫。節約志向から依然として抜け出せない状況を裏付けた。
住宅投資は4・8%増と大きく伸びたが、これは省エネ基準適合義務化に伴う駆け込み需要の反動で前期に大きく落ち込んだものが持ち直した結果で、特殊な要因と言える。
全体的に個人消費や設備投資などの内需は力強さを欠き、内需の弱さは前期(0・4%減)と同様、0・3%減という輸入の弱さにも示されている。下げ幅が小さくなっているとはいえ、米関税政策の影響から輸出も0・3%減と、景気の牽引(けんいん)役が見当たらない状況が続く。
こうした状況下で、現状打破への期待が懸かるのは、やはり高い水準の賃上げ継続と物価高対策だ。26年春闘でも前年に続く5%台の賃上げ予想が広がっているのは、心強い。
しかも、物価上昇に鈍化の兆しが見えてきた。主要食品メーカー195社が5月までに予定している食料品の値上げ品目数は3720品目と前年同期(8867品目)の4割程度と少なくなっている(1月時点、帝国データバンク調べ)。
政府のガソリン税暫定税率廃止などの総合経済対策もあり、昨年12月の消費者物価は前年同月比2・4%上昇、1月の東京都区部消費者物価は同2・0%上昇と24年10月以来の低い伸び率となった。
実質賃金はプラス圏へ
実質賃金は12カ月マイナスが続いているが、昨年12月は前年同月比0・1%減とプラス圏浮上が目前。2月以降はプラス圏で推移し、個人消費の下支え要因になるとみる識者もいる。26年春闘で昨年と同程度の5%以上の賃上げが実施されれば、賃金と物価の好循環実現への弾みとなろう。
高市政権が6月に中間報告をまとめる2年間の食料品消費税ゼロが、いつから、どの程度消費を押し上げる効果があるかはまだ見通せないが、アクセルとなるのは間違いない。一日でも早く実現することを期待したい。






