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鉄道トラブル 重要インフラの管理徹底を【社説】

JR山手線などの運転見合わせの影響で混雑する新橋駅=16日午前、東京都港区
JR山手線などの運転見合わせの影響で混雑する新橋駅=1月16日午前、東京都港区

 JR東日本で停電による輸送トラブルが相次いでいる。鉄道は国民の社会生活や経済を支える重要なインフラだ。設備の維持管理が不十分であれば、安全で円滑な運行は望めず、社会機能に支障を来しかねない。

 山手線が8時間ストップ

 山手線では先月、新橋―品川間で発生した停電の影響で、始発から約8時間にわたって全線で運転を見合わせた。一部区間を並走する京浜東北線なども一時ストップ。朝の通勤ラッシュを直撃し、約67万3000人に影響が出た。

 この停電では、駅間に停車した車両の乗客約4000人が線路上を歩いて最寄り駅まで移動するなど大きな混乱を招いた。体調不良を訴えた乗客もいるという。受験シーズンと重なったため、関係者からは不安の声も上がった。

 山手線では昨年5月にも架線断線による運転見合わせで約19万7000人が影響を受けるトラブルが発生した。乗客はダイヤの乱れがないことを前提に行動しており、こうしたトラブルが続けば鉄道への信頼を大きく損なうだろう。

 また先月には、架線断線によって常磐線の一部で最大7時間の運転見合わせがあったほか、今月に入ってからもやはり架線断線のために宇都宮線の一部で2日にわたって運転を見合わせた。宇都宮線では、架線が交換の必要な太さの半分まで摩耗していたという。

 JR東はコロナ禍で鉄道利用者が減ったため、2020年度からの3年間で修繕費を約800億円削減した。JR東の喜勢陽一社長は「修繕費の抑制を図る中で、安全安心輸送に対するウイークポイントができてしまった」と説明し、設備の維持管理に関わる修繕費を増額するなどの再発防止策を示した。

 JR東は今年3月に運賃を平均7・1%引き上げる。資材費が高騰する中でも老朽化した車両や設備の更新が必要であり、少子高齢化で人手不足が深刻化する状況下で人材を確保するため待遇改善が求められていることを値上げの理由としている。

 コロナ禍以降、テレワークの普及で通勤定期の利用客数が減少している。地方の赤字路線も多い。値上げによる利益を設備修繕に活用し、トラブル防止を徹底しなければ、鉄道離れが加速しかねない。

 鉄道は重要インフラであり、政府が重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の対象である15業種の一つでもある。貨物などを輸送する際、二酸化炭素(CO2)の排出量がトラックに比べて少ない利点もある。

 その役割は経済的なものにとどまらない。ロシアによるウクライナ侵略から間もなく4年になるが、ウクライナ軍は北大西洋条約機構(NATO)加盟国から供与される戦車や地対空ミサイルを鉄道で運んでいる。安全保障に関しても鉄道の存在は不可欠だ。

 国の役割を強化せよ

 欧州では国や州政府が鉄道の設備やシステムの維持に責任を持つケースが多い。

 日本でも鉄道インフラの管理徹底に向け、国の役割を強化すべきだ。

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