
衆院選結果を受けて自民党本部で記者会見した高市早苗首相は憲法改正に取り組むことを明言した。自民と日本維新の会だけでなく野党も含めて改憲党派が躍進し、反対する護憲派は極めて少なくなった。憲法条文と最も矛盾する自衛隊の位置付けなど、現実や時代の変化を踏まえて条文を改めるべきだ。
衆院選で示された民意
日本国憲法は施行後78年余りたつが、一度も改正されていない。敗戦後、陸海軍が解体され、国権を発動した戦争と、武力による威嚇や行使の放棄、陸海空軍など戦力の保持を認めないなどの9条の条文によって、わが国は軍を持つことはできないことになった。
しかし、警察予備隊、保安隊を経て1954年に発足した自衛隊は70年を超える歩みの中で、戦車、榴弾(りゅうだん)砲、各種ミサイル、護衛艦、戦闘機や輸送機、哨戒機など陸海空の先端兵器を保有し、銃器を携えた隊員がいる。精強な実力集団を養成する訓練、演習のほか米軍など外国軍と共同演習を行っており、国際的には軍である。
なぜなら、自衛隊は法律に基づいて首相を最高指揮官とし、国家に所属する指揮系統のある武装集団であり、陸海空の兵器を装備している。これらの要件を備えていれば戦時の国際的な取り決めを定めたジュネーブ諸条約はじめ国際法に照らして軍にほかならない。実際、同盟国の米国ほか諸外国は、わが国周辺の軍事的脅威となっている中国、ロシア、北朝鮮を含め自衛隊を軍とみている。
だが、政府は9条解釈から自衛隊を軍ではないと説明してきた。自衛隊を巡っては発足当時も憲法論議が起こり、55年に政界再編をもたらした。護憲派の左派社会党と右派社会党が統一して社会党となり、改憲派の日本民主党と自由党が保守合同して自民を結党した。世論は自衛隊を「憲法違反」とする廃止論が優勢で、自衛隊反対を叫ぶ学生運動が学園を席巻した。
国政選挙では社会、共産党が護憲・自衛隊反対を唱えて一定勢力を占め、自民は衆院においても参院においても改憲発議に必要な3分の2以上の議席を得ることはできなかった。だが、今回の衆院選では自民単独で3分の2以上の議席を得ている。社会を継承した社民党は議席をなくし、共産はわずか4議席にとどまった。社会の一部の流れを汲(く)む立憲民主党は中道改革連合に合流したが、その中で立民議席は144議席から21議席に減っている。民意における決着はついたと言うべきだ。
世論を高めて発議を
自衛隊への印象は2022年の内閣府世論調査で90%以上が良いと回答している。今回の選挙でも若年層はじめ多くが改憲政党の自民、維新、参政党などに投票しており、新党で11議席を獲得したチームみらいの安野貴博党首も9条について「現実に即したものにすべきだ」と述べている。
今や隔世の感がある。衆院で改憲の論議を深め、改憲原案をまとめるべきだ。参院は昨年、自民が選挙で惨敗したばかりだが、参政など改憲派は伸びている。世論を高めて改憲発議に向かってほしい。






