きょうは46回目となる「北方領土の日」だ。旧ソ連軍が第2次世界大戦末期から終戦後にかけて占領した北方領土に関しては、今なお国際法による国境は未画定のままだ。
ソ連を継承したロシアと北方領土問題を解決して平和条約を結ぶべきだが、近年のロシアの力による現状変更は大きく懸念される。わが国は国防力を強化しながら粘り強く交渉再開を目指すべきだ。
ウクライナ侵略で中断
北方領土返還交渉は、ウクライナ侵攻に対してわが国も制裁措置を取ったことを理由に、ロシアが一方的に中断すると通告してきた。侵略行為であるウクライナへの進軍は、当然非難されるべき主権侵害の国際法蹂躙(じゅうりん)であり、わが国との交渉中断も遺憾なことである。
深刻なのはロシアが国際社会の法秩序を破壊する行動に出たことであり、わが国に対しても軍事的な行動に出る可能性も排除できない。現にロシアは中国との連携を強めて、たびたび中露の軍が共同でわが国周辺に軍用機を飛ばしたり、海軍艦艇を周回させたりしている。
むしろ不測の事態に備えて国防力を一層強化し、極東におけるロシアの蛮行を誘発しない努力を重ね、粘り強く交渉の機会をうかがうほかない。継続して北方領土問題を国民に啓発し、わが国の領土を取り戻す決意を確認する上で「北方領土の日」の意義は高まっている。
択捉、国後、歯舞、色丹の北方四島はわが国固有の領土である。江戸幕府とロシアが1855年に結んだ日魯通好条約によって国境を画定し、日本の領土であることが確認された。1945年には1万8000人ほどの島民がおり、ソ連軍の攻撃を逃れて避難してきた。
同年、戦後国際秩序の柱となる国連憲章で領土不拡大の原則が謳(うた)われた。わが国はサンフランシスコ講和条約締結に当たり、ウルップ島以北の千島列島と南樺太を放棄した。
しかしソ連は同講和条約に加わらず、両国の戦後処理は延期された。56年の日ソ首脳会談で国交回復したが、北方領土問題と平和条約締結に関しては、ソ連側が歯舞、色丹の2島返還を主張、日本側は拒否して先延ばしされた。
ソ連崩壊後、ロシアとの間で一時期雪解けムードが広がり、北方領土に墓地を持つ遺族の墓参、ビザなし交流が進められた。領土問題を含む平和条約締結交渉も行われたが、クリミア半島併合後の2016年、訪日したロシアのプーチン大統領と安倍晋三首相との首脳会談でプーチン氏は領土返還に関してゼロ回答した。
返還のチャンスはある
それでも国際情勢は動き、チャンスはあるとみるべきだ。戦後、ソ連の最高実力者もスターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、ゴルバチョフと代わり、ソ連は崩壊してロシアのエリツィン大統領時代に両国が法と正義に基づいて領土問題を解決し、平和条約を締結することが確認された。
それまで、北方領土返還を諦めない。これが日本国民に課せられている。






