トップオピニオン社説衆院選と家族政策 伝統の保守か多様性推進か【社説】

衆院選と家族政策 伝統の保守か多様性推進か【社説】

大雪に関する関係閣僚会議で発言する高市早苗首相(右 から2人目)=3日午前、首相官邸
大雪に関する関係閣僚会議で発言する高市早苗首相(右 から2人目)=3日午前、首相官邸

 衆院選の投開票日が近づいてきた。衆院解散表明の記者会見で、高市早苗首相は政権選択選挙であり「自分たちで未来をつくる選挙」と意義付けた。

 世界は激動している。その中にある日本の未来像は、腰を据え、長期的な視野に立って考える必要がある。その際、社会の基本単位をどう見るのか。混迷する時代だからこそ、有権者には根源的な思考が求められる。

 夫婦別姓の是非が争点

 世界人権宣言にあるように、社会の基本単位を「家族」と捉えるのか、それとも「個人」と考えるのか。これによって日本の未来像は全く違うものになる。この問題を曖昧にしていては、家族政策は方向性を見失ってしまうだろう。日頃あまり行われない議論だが、政権選択選挙は社会の基本単位と日本の未来像について有権者に熟慮を求めている。

 衆院選の争点となっている家族政策の一つに、選択的夫婦別姓(夫婦別姓)の導入問題がある。結婚に伴う改姓で不便を被るなどとして、主に一部女性が声を上げたことで浮上した問題だが、自民・日本維新の会の与党は、結婚する前の姓つまり旧姓使用の法制化で不便解消を進めることを公約に掲げる。野党でも保守的な政党の参政、日本保守は夫婦別姓に反対する。

 一方、立憲民主・公明による「中道改革連合」(中道)、国民民主、共産、れいわ新選組、社民は夫婦別姓導入を公約に盛り込んでいる。中道は「生活者ファースト」で右左の「真ん中」を志向する政党を看板とするが、この問題ではリベラル・左派の立場だ。

 今回の衆院選は消費税減税が最大の争点となり、与野党の対立軸が不明確だと言われる。しかし、家族政策は保守とリベラル・左派の違いを浮き彫りにするテーマとなっている。社会の基本単位を伝統的な家族とするのか、それとも個人とみるのかという理念の対立である。

 前者の立場を取れば当然、夫婦と子供の一体感を守るため、現行の夫婦同姓と戸籍制度を維持させる政策となる。一方、後者では、個人の選択の自由を優先させる夫婦別姓導入となる。だが、この場合、子供は片方の親との別姓を強いられるという問題が起きてしまう。

 家族政策を巡る理念の違いは「同性婚」問題にも表れている。高市首相は同性婚に「反対」を明言している。導入を公約に掲げるのは中道、共産、れいわ、社民。国民民主は公約として明示していないが、「多様な家族のあり方を受け入れる社会」を掲げているから家族政策としてはリベラル陣営と言っていい。

各党の理念念頭に一票を

 未来をつくる選挙だとすれば、忘れてならないのが憲法改正だ。理念が曖昧では未来に向けた国造りはおぼつかない。自民が2012年にまとめた改憲草案は第24条に「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される」を入れている。物価高対策は大切だが、国の未来のためには、各党の家族についての理念を念頭に一票を投じてほしい。現行憲法のままで激動する国際情勢の荒波に耐え得る国家が造れるのか、が問われているのだ。

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