中国で海上法執行機関である海警局の武器使用に関する権限などを定めた海警法が施行されてから5年が経過した。沖縄県・尖閣諸島の領有権を不当に主張する中国は、海警法施行後、尖閣周辺での活動を活発化させている。日本は同盟国である米国との協力や南シナ海で中国の脅威に直面するフィリピンなどとの連携を強化するとともに、海上保安庁への軍事的役割付与などで尖閣防衛の体制充実に努める必要がある。
尖閣周辺での活動活発化
海警法は2021年2月1日に施行されたが、東シナ海や南シナ海の広大な領域を「管轄海域」と主張する中国は、法施行後に巡視活動などを活発化させている。尖閣周辺では、この5年間で計134回のパトロールを実施。日本領海への侵入も頻繁に行われている。習近平政権は今後も同法を根拠に権益拡張を進めるとみていい。
尖閣沖では昨年5月、領海侵入した海警船4隻の中の1隻からヘリコプターが発艦し、領空を侵犯。南シナ海でも、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるスカボロー礁(中国名・黄岩島)や、南沙(英語名・スプラトリー)諸島のサビナ礁周辺で海警船の活動が常態化し、フィリピン側の船に放水や衝突を繰り返している。
尖閣は1895年、日本政府が「無主の地」であることを確認し、沖縄県に編入した。中国が領有権を主張するようになったのは、尖閣周辺海域における石油埋蔵の可能性が指摘された後の1970年代からだ。尖閣は日本固有の領土である。
南シナ海に関しても、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は2016年7月、中国独自の境界線「九段線」について、域内の資源に「歴史的権利を主張する法的根拠はない」との判断を下した。中国の東・南シナ海での強引な海洋進出は「法の支配」に反するもので容認できない。
台湾周辺では、海警局と軍が連携を強化している。昨年4月の軍事演習の際には、台湾本島を包囲する形で臨検・拿捕(だほ)の訓練を行った。台湾有事の際には、海警局が法執行の名目で前面に展開し、「(武力攻撃に至らない)グレーゾーンでの封鎖を行う可能性がある」(25年版防衛白書)との見方も出ている。尖閣に関してもグレーゾーン事態を重ねることで現状変更を試みていると言えよう。
海警局は18年7月、軍の最高指導機関である中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊(武警)に編入された。装備も大幅に強化されており、「第2海軍」とも呼ばれる。一方、海保は法的に「軍隊の機能」が明確に否定されている。これで海警船に十分に対抗できるのか。
衆院選での論戦を期待
23年4月には、日本が外国から攻撃を受けた武力攻撃事態の際、防衛相が海保を統制下に入れる手順や役割分担などをまとめた「統制要領」が決定された。
尖閣を守る上で自衛隊との連携強化は重要だが、連邦政府の法執行機関であるとともに軍の一部でもある米沿岸警備隊などを参考に、海保への軍事的役割付与に向けた法改正も検討すべきではないか。衆院選での論戦を期待したい。






