
トランプ米政権が安全保障政策の指針を示す「国家防衛戦略(NDS)」を発表した。対中抑止をインド太平洋での最大の戦略課題とし、全同盟国に防衛費を対国内総生産(GDP)比5%まで引き上げるよう要求している。日本には米国との同盟における役割を拡大する政策が求められる。
GDP比5%を要求
NDSは重点として①本土防衛と西半球の安定確保②インド太平洋での対中抑止③同盟国の負担分担拡大④防衛産業基盤の強化――の4点を列挙。本土防衛では従来の防衛網の強化に加え、無人機など新たな脅威への対応や、次世代ミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」の推進を掲げた。
中国については「米国や同盟国を支配できないようにする」と説明。インド太平洋で九州・沖縄から台湾、フィリピンに至る「第1列島線」に沿った「強固な防衛を構築する」指針を打ち出した。台湾には言及しなかったが、指針は中国の台湾侵攻を抑止するものだと言えよう。
対中抑止を進める上で、NDSは「同盟国、友好諸国の貢献は極めて大切だ」と強調。同盟国の防衛費に関し、北大西洋条約機構(NATO)が昨年6月、2035年までの目標として合意した防衛費3・5%、安保関連のインフラ整備1・5%の計5%を「新たな国際標準」と指摘し、この達成を要求した。
たとえ米国が同盟国であっても、防衛費の規模は他国に言われて決めるものではない。ただ、米国の要求の背景には「防衛を米国任せにしてきた」との同盟国への強い不満がある。
トランプ大統領は「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守らない」と繰り返し強調している。日米同盟の「片務性」を指摘したものだ。日本は米軍に基地を提供し、高額な駐留経費(思いやり予算)を負担している。「片務的」という批判は必ずしも的を射ているとは言えないが、トランプ氏だけでなく米政府内にこうした不満があるとすれば、その解消に努める必要がある。
同盟の信頼性は双方の努力によって維持、向上する。日米同盟は日本の外交・安保の基軸であり、中国の脅威が高まる中、同盟における日本の役割拡大が求められる。
立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は衆院選の公約で、集団的自衛権行使を限定容認した安保関連法について「存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」としている。立民はもともと同法について「違憲部分の廃止」を唱えていた。公明との合流で「合憲」に転換したが、与党時代に自民党との協議で過剰な制約を課した公明と共に、集団的自衛権行使に極めて消極的だと言わざるを得ない。
改憲の必要性訴えよ
与党の参院での議席数は憲法改正原案発議に必要な数には程遠く、衆院選でも議席をどれだけ獲得できるか分からない。しかし日米同盟を強化して日本と地域の平和を守る上で、憲法9条改正と集団的自衛権行使の全面容認の重要性は増している。高市早苗首相は選挙戦で改憲の必要性を訴えるべきだ。






