
2025年の訪日外国人数が初めて4000万人を超えた。一方で中国政府の訪日自粛要請で中国人客が12月に激減し、今年も厳しい状況が続きそうだ。中国以外の国や地域からの誘客を強化する必要がある。
年間消費額も過去最多
金子恭之国土交通相の発表によると、昨年の訪日客数は約4270万人。前年比約16%増で過去最多となった。訪日客による年間の消費額は約16%増の約9兆5000億円で、これも過去最多となった。
インバウンド需要はGDP(国内総生産)の1・4%の規模に達し、日本経済における重要度が一段と高まっている。訪日客が前年に続き2年連続で過去最高を更新した背景には、歴史や文化、食事など日本観光の多彩な魅力に加え、円安が追い風となったことがある。
日本で大地震が起きるといううわさがSNSで広まり、香港などアジア圏の一部からの旅行者が減った時期もあったが、幅広い国・地域で観光客誘致に取り組んだ効果が表れた。欧米とオーストラリアの12カ国では前年比2割増の計700万人超が来日。中でも豪州が初めて中国、韓国、台湾、米国、香港、タイに次ぎ100万人を突破した。
一方、高市早苗首相の台湾有事発言に反発した中国が日本渡航自粛を呼び掛け、大手旅行会社には訪日客数を抑えるよう要請した。これによって、昨年12月の中国人客数は約33万人と、前年同月に比べ約45%減少。年間では前年比3割増の約910万人と韓国の約946万人に次ぐ2位にとどまった。
これについて金子国交相は「さまざまな国や地域からの訪日促進に取り組みたい。中国からの訪日客が一日でも早く戻るような努力もしなければならない」と述べた。
訪日客の多かった中国が激減する影響は大きく、簡単に回復する見込みもない。しかし、訪日客数をコントロールし外交圧力にする国の市場に過度に依存することは、もともとリスクをはらんでいた。これを機会に、中国以外の国での訪日客誘致にさらに力を入れていくべきだ。それによって、日本の観光産業が新しい次元にレベルアップすることも期待できる。
政府は30年に訪日客6000万人、消費額15兆円の目標を掲げているが、この目標に着実に近づくためには、宿泊施設や人手の不足などの問題を解決していく必要がある。
地方への流れに弾みを
23年に策定された第4次観光立国推進基本計画は「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の三つを柱としている。「持続可能な観光」という点では、オーバーツーリズム対策をさらに進めなければならない。「消費額拡大」では体験型の「コト消費」などに力を入れていきたい。
「地方誘客促進」は、地方の活性化のためにも重要だ。観光立国の実現は東京一極集中からの脱却など経済政策を超えた意味がある。訪日客の訪問・滞在先が、東京や京都、大阪などいわゆるゴールデンルート上の都市から徐々に地方に広がりつつある。この流れをさらに勢いのあるものにしたい。






