トップオピニオン社説衆院解散 政権基盤を強化できるか【社説】

衆院解散 政権基盤を強化できるか【社説】

衆院が解散され、起立する高市早苗首相=23日午後、国会内

 高市早苗首相が、政権基盤を強化し、政策推進力を向上させるため衆院を解散した。一方、野党の立憲民主党と公明党の衆院議員は新党「中道改革連合」を結成、政権奪取を図る。高市首相が勝敗ラインとする「与党で過半数」を確保できるか、新党が阻止できるのか。

 27日公示、来月8日投開票という戦後最短の真冬の政権選択選挙となったが、有権者には自民党と日本維新の会が交わした連立政権合意書の内容や、各党の掲げる公約を比較して投票所に向かってもらいたい。

 背水の陣を敷く首相

 高市首相は今月19日の記者会見で「政策実現のためのギアをもう一段上げたい」と語った上で「国論を二分するような大胆な政策、改革にも果敢に挑戦したい。重要な政策転換について国民に示し、その是非について審判を仰ぐことが民主主義国家のリーダーの責務だと考えた」と強調した。

 自民と維新による連立政権合意書には皇室典範改正、憲法改正、スパイ防止法の制定などの重要政策の推進が盛り込まれた。しかし、一昨年の前回衆院選で有権者に審判されなかった政策も多い。与野党が重要案件で対決するたびに、国民の審判を受けていない政権の独断は許されない、といった批判が生じるのは明らか。

 そのため、「高市早苗が首相でよい」との信任を得て、政策推進力を高めたいとの思いが強まったのだろう。参院での少数与党は解消されないが、衆院だけでも政権基盤を固め直したいとの判断があろう。首相は「与党で過半数」を確保できなければ退陣する意向を示しており、背水の陣を敷いて臨む。

 一方、意表を突かれた形の立民と公明は新党を立ち上げたが、あまりに急ごしらえで高揚感なき野合である。政党の合流要件は、国家観が近く、国家の基本政策で方向性の一致していることが必須のはずだ。

 しかし、立民は違憲の部分を廃止するとしてきた安全保障関連法を合憲とし、原発再稼働も容認するなど、新党の基本政策では公明の主張を丸呑(の)みしている。公明票欲しさに重要な政策を変更してしまうようでは国民の信任を得られまい。衆院側だけ合流するというのも選挙互助会だからだろう。

 公明の姿勢も理解に苦しむ。長年、立民を敵対政党と位置付け、自民と共に与党として戦ってきた。今回は立民と組んで自民と戦うことになる。「中道」という言葉の意味を創価学会の教義と関連付けて会員たちの説得を試みているようだが、国民多数の理解は得られまい。

 新党は公約の柱に、今年秋からの恒久的な食料品消費税ゼロを掲げている。一方、自民も責任ある積極財政への転換と飲食料品の2年間の消費税ゼロを盛り込んだ。ただ、「検討を加速する」と一歩引いた表現である。両党とも、納得可能な具体的財源を示すべきである。

 本気度を見極めたい

 理想的な国家像や、外交・安全保障、憲法改正、皇室典範改正、物価高対策など国家の重要政策について、その実現に向けた各党・候補者の本気度を見極めたい。

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