
年始から政界に渦巻いた衆院解散の風。高市早苗首相が通常国会冒頭での解散を発表した。日韓の信頼構築、メローニ伊首相との価値観共有など外交成果を携えながら野党各党の虚を突く解散は、選挙戦略に長(た)け、国政選挙6連勝を果たした安倍晋三元首相譲りのしたたかさだ。
「未来をつくる選挙」
高市首相は日本の可能性を確信し、「自分たちで未来をつくる選挙」と銘打った。自公連立解消で26年間の過去と決別し、日本維新の会との新たな連立を国民に問う一大勝負。首相は進退を懸けて退路を断ち、与党過半数を勝敗ラインに掲げた。首相就任後、当面の物価高対策、医療機関への緊急支援などを施した上で解散時期を今に決めた。
「強い経済」と積極財政、安全保障関連3文書の前倒し改定などへ大転換した高市政権の信任を問う。受験期、厳冬期ではあるが、冬季五輪開幕の国威発揚も背景に、わが国の命運を決する総選挙だ。
与党にとっては衆院で233という過半数ギリギリからの議席増も急務だ。国民民主党とは、所得税の最低課税ライン「年収の壁」を178万円に引き上げることで昨年末に合意したが、連立合流には距離があった。特にわが国の主権を守る「インテリジェンス政策・スパイ防止関連法」の成立には、揺るぎない政権基盤の確立が不可欠だ。
米軍のベネズエラ作戦に始まる直近の国際情勢の激動も、高市首相の解散への決意をプッシュしたことだろう。ベネズエラ作戦は、西半球を重視し、東アジア関与を弱めかねない米国家安全保障戦略(昨年11月付)を大胆、具体的に展開したもので、わが国の安保における緊張感を高めている。4月の米中首脳会談を前に3月、首相は訪米しトランプ米大統領と会談する。
政権選択選挙での勝利をバックに、日本国民の安全第一のために力強く、トランプ氏との外交交渉に臨むべきだ。より強固な安保体制を追求する危機管理を、あらゆる政治課題に優先させることも憲政の常道である。
連立を離脱した公明党、国会質問で国益追求の姿勢を欠き、SNSで不要論にまで直面した立憲民主党が、衆院だけの新党「中道改革連合」を立ち上げた。自民内非主流派の石破茂前首相、岸田文雄元首相らにも「反高市」包囲網を呼び掛けたとされ、警戒心が高まる。何より各小選挙区の公明票を自民から中道議員に転じる戦術の行方は予断を許さない。
しかし新党は、両党が選挙目当てと保身で野合したにすぎない。わが国の安保政策を混迷、脆弱(ぜいじゃく)化させる恐れを内包する。選挙では一層の国力強化を目指す選択こそ求められよう。
ただ、高市首相肝煎りの積極財政のアピールには細心の注意が欠かせない。物価高に関わる円安に歯止めをかけ、国際市場の不信を払拭できるか。食料品減税の公約は、期間限定であれポピュリズムの毒を含む。財務当局や日銀と連携し、財源を含め政策情報を緻密に管理して発信する必要がある。
国民の積極的な参加を
国民の政治リテラシー向上と積極的な選挙参加こそ正しい日本の政権づくりに寄与しよう。






