トップオピニオン社説教員の働き方改革 本来業務集中へ環境整備を【社説】

教員の働き方改革 本来業務集中へ環境整備を【社説】

 学校の教員の3学期は多忙を極める時期だ。一年の総まとめ、次年度の準備、卒業・進級に関わる書類の作成など重要な業務が集中する。

 教員の働き方改革が叫ばれて久しい。しかし業務が減るどころか、形の変わった業務が増えている。

 “業務の軽量化”進まず

経済協力開発機構(OECD)によると、日本の常勤教員の勤務時間は中学校で週に55・1時間、小学校で52・1時間と、国際平均を大きく上回っている。特に授業以外の業務(授業準備や部活動など)にかかる時間が長いことが特徴だ。教員の実質的な月の残業時間は平均88時間36分で、過労死ラインとされる80時間を超えている。

 教員の働き方を改善しようと、文部科学省は業務を三つに分け“業務の軽量化”の考えを示している。一つ目が「学校や教員が担わなくてもよいもの」。登下校の見守りは地域ボランティア、給食費や修学旅行費などの徴収金の管理は事務職員や銀行でも担える。地域住民との調整、膨大な事務作業などを民間企業に委託してもよいであろう。

 二つ目が「学校の業務として存在するが、必ずしも教員が担う必要のないもの」。授業間の休み時間の安全管理、校内清掃、プールの管理などは、地域や外部のスタッフに任せれば安全性と効率性を両立できる。部活動も地域クラブに委ねる動きが出ている。

 三つ目が「教員の仕事ではあるものの、工夫次第で負担を軽減できるもの」。給食の配膳や後片付け、授業の準備、成績処理、学校行事の運営など直接関わる領域ではあるが、在り方を見直すことで効率化が可能な業務だ。小学校と中学校との間の壁を低くし、専門外の授業を得意な教員に任せる「教科担任制」も考えられている。

 情報通信技術(ICT)機器の普及により学校から家庭への連絡、個別進度の学習などはスムーズに進むようになっている。だが故障や不調に対応する支援員が少なく、結局、現場教員の負担が増えている部分もある。地域住民や保護者から見ると教員がやって当然ということも、積み重なると日々の負担を大きくしてしまう。

 日本では、子供の「知」「徳」「体」の成長を学校が丸ごと支えている。日本の教育の強みでもある。こうした仕組みは人間性や協調性を育てられるという側面がある。学校では体育祭、音楽会など各種行事の成功に向けた準備などもある。誰もやらなければ私がやる、という教員の矜持(きょうじ)もある。文科省や各教育委員会が新しい制度や施策を決めても、現場での運用、実行は簡単ではない。

 他者との連携を進めよ

 教員は自分の担っている業務を見詰め直し、どれが本来の仕事で、どれが付随的な仕事なのか見極めることが大切だ。不要な業務や他者に任せられるものを切り分ければ、集中すべき核となる仕事に力を注ぐことができ、仕事の流れは驚くほどスムーズになるだろう。

 自分の専門性を活(い)かしながら足りない部分を補い合う仕組み“チーム学校”をつくることが効率化への近道になる。

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