
警察庁の有識者会議が、特殊詐欺の被害金などのマネーロンダリング(資金洗浄)対策として、口座の不正譲渡の罰則強化や、資金洗浄の新たな手口とされる「送金バイト」の規制を柱とする報告書をまとめた。
昨年1~11月の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は過去最悪の約2763億9000万円(暫定値)に上った。資金洗浄への対策強化をこうした詐欺の防止につなげる必要がある。
資金洗浄の受け皿に
警察庁によると、被害金は口座振り込みで送金させる手口が最も多く、2024年の特殊詐欺の約5割、SNS型投資・ロマンス詐欺の約8割を占めた。その多くで闇バイトなどで不正売買された口座が受け皿に使われたという。
一方、24年の口座売買などの検挙数は4362件で、罰則が「1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金」に引き上げられた11年の3・5倍。利用停止や強制解約になった口座数も11年の3倍超に上っており、報告書は抑止効果が不十分で罰則の引き上げが必要とした。
愛知県警などが昨年10月に逮捕した口座のブローカーは、年間約1000口座を特殊詐欺グループに仲介していた。このブローカーは、匿名性の高いテレグラムのグループチャットに「日本最大口座仲介業者」と日本語や中国語で宣伝。闇バイトから主に金融機関や暗号資産(仮想通貨)の口座、各口座とひも付いたスマートフォンをセットで仕入れ、詐欺グループに仲介していた。
闇バイトへの報酬はセット価格が約5万~40万円、詐欺グループへの販売価格は約60万~100万円だったという。資金洗浄を防ぐため、詐欺グループと共にこうしたブローカーの摘発も強化すべきだ。
このほか報告書では、SNSなどで募集し、個人口座に入金した金を指定先に振り込ませる送金バイトについて、他人の口座を不正利用する脱法的行為で、資金洗浄の新たな手口になっていると指摘。口座の譲渡ではないため、現行の規制の対象外だが、罰則を設けるべきだとしている。
警察庁によれば、23~24年には100件程度の送金バイトが確認された。法改正による罰則創設を急がなければならない。
報告書で注目すべきは、警察が偽口座を詐欺グループに提供し捜査に活用する「架空名義口座」の導入の必要性を認めたことだ。口座買い受けの抑止や振り込まれた被害金の早期確保などの効果があるとしている。
新たな捜査手法が必要
面識のない者同士が離合集散を繰り返しながら特殊詐欺や強盗などを行う匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の摘発には、新たな捜査手法が求められる。捜査員が架空の身分証を使って闇バイトに応募する「仮装身分捜査」も昨年から行われている。
トクリュウ対策強化のため、警視庁は昨年10月に「対策本部」を新設した。都道府県警の管轄を越えて捜査する対策本部は「準国家警察」と位置付けられている。新組織によってトクリュウ壊滅を図るべきだ。






