トップオピニオン社説日韓首脳会談 米国との「戦略的連携」を【社説】

日韓首脳会談 米国との「戦略的連携」を【社説】

法隆寺の境内を歩く高市早苗首相(左)と韓国の李在明大統領(中央)=14日午前、奈良県斑鳩町(代表撮影)

 高市早苗首相と韓国の李在明大統領が奈良市で首脳会談を行った。高市首相は「日韓関係をさらなる高みに発展させる年にしたい」と強調し、李大統領も「今年が両国が共に未来に向かう元年になることを願う」として、日韓関係の新たな出発点を確認し合った。

対日圧力強める中国

 両者の会談は昨年10月末に韓国・慶州で行われて以来2度目。李大統領のリクエストに応えて会談場所を高市首相の地元であり日韓の歴史にも縁のある奈良に設定し、両国間の歴史的関係を舞台装置とし、シャトル外交が順調に滑り出したことを強く印象付けた。

 外交パフォーマンスだけでなく、実質の伴う会談だった。高市首相の「存立危機事態」発言に反発した中国が対日圧力を強め、軍民両用品の対日輸出を禁止したことを念頭に、日韓間で経済安全保障協力の推進に向けた当局間協議を開始することで合意した。不安定さを増す東アジア情勢の中で、半導体のサプライチェーン(供給網)協力や先端技術分野での連携拡大を確認したことは大きい。

 高市首相は日韓、日米韓の「戦略的連携」の重要性も強調した。トランプ米政権は昨年12月、国家安全保障戦略(NSS)を発表し、「西半球」を米国の最優先地域と位置付け、東アジア安保では日本、韓国が応分の分担をするよう求めている。台湾への野心を隠さない中国、「事実上の核保有国」北朝鮮と対峙(たいじ)するのに際し、米国の関心・協力を引き付けておかねばならないという共通の課題を抱える日韓が「戦略的連携」を強調するのは当然で、両首脳がこれを再確認したことは重要だ。

 その中で“最も弱い輪”と言われている韓国に対する中国の離間工作も行われた。李大統領は直前に中国を訪問し、習近平国家主席から「歴史の正しい側に立たなければならない」と同調を迫られたが、「孔子の言葉として聞いた」と受け流した。

 後に記者団に「大人の喧嘩(けんか)に割り込むと嫌われる」と語り、「どちらの側にも立た」ず「日本、韓国、中国の3カ国が意思疎通を強化する」という原則を貫いて奈良会談でもそれを確認した。経済的つながりの深い中国との関係を壊さず、「実益」を得ようとする実利外交の面目を示した格好だ。

 高市首相は韓国が歓迎する提案を忘れていなかった。1942年山口県宇部市の海底炭鉱、長生炭鉱で発生した水没事故で朝鮮半島出身者を含む183人が死亡したことを巡り、遺骨の発掘・鑑定を共同で行うと表明した。歴史問題を深掘りすることを避け、扱い得る分野から取り組んだ。「小さいが意味ある進展を成し遂げ、意義深く思う」と李大統領も評価した。

交流の深まりを期待

 韓国は歴史問題と経済を分ける「2トラック」方針を続けている。だが、日韓関係は軽微なことでも簡単に悪化してしまう不安定さがある。堅固にするには、首脳同士の密なコミュニケーションと信頼醸成が必須だ。李大統領は自身の故郷である慶尚北道安東に高市首相を招待する意向を表明した。両首脳の交流が深まることを期待する。

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