
中国がレアアース(希土類)など重要鉱物の輸出規制を外交カードとして用いていることから、先進7カ国(G7)財務相らが会合を開き中国への依存度を減らしていくことで合意した。わが国に対しても中国は高市早苗首相の台湾有事における「存立危機事態」答弁の撤回を要求し、輸出規制に動いている。対策を急がなければならない。
軍民両用品の対日禁輸
今年に入って中国は軍事力向上につながる軍民両用品の日本向け輸出を禁止すると発表し、レアアースも規制対象に含まれるとみられている。具体的な輸出規制の対象がどこまで拡大するかは政治に左右されるだろうが、中国はまず日本の経済界、政界、マスコミから首相答弁に対する批判を誘導し、政権の出方をうかがう構えだ。
首相が安保関連法に基づき説明した「存立危機事態」答弁は、従来の政府の立場を踏襲したものだ。過剰な中国の反発や撤回要求、さらに日本産水産物の禁輸措置や中国国内での日本人タレントの公演中止措置などさまざまな形で対日圧力を加えることは行き過ぎである。
首相は撤回せず、むしろ内閣支持率は高止まりで推移しているためか、中国はレアアース禁輸をちらつかせる強硬策を持ち出してきた。むしろ、改めて中国リスクが浮き彫りになり、対中依存からの脱却がG7の共通認識となったと言えよう。
レアアースは先端技術を用いた製品に必要な材料であり、中国は採掘で6割、精製で9割の世界シェアを占めている。供給が中国に集中するリスクを回避するためインド、オーストラリア、米国など供給源の多角化を進めるとともに、わが国ではリサイクル利用を進め、南鳥島での深海レアアース泥採掘に着手している。
中国は長期的な国家戦略としてレアアース鉱山開発と精製加工に投資しており、安価な供給を実現した。精製には放射性廃棄物を伴うため環境負荷が高く、環境基準が厳しい欧米や日本などではコストの高い投資となり、中国との価格競争に太刀打ちできない側面もある。だが、もはや国策として予算投入を考えるべきではないのか。
中国では政治や軍事はもちろんのこと、行政、司法、外交、経済が中国共産党の指導下にあり、そのレベルはコンサートや海外旅行、動物園のパンダまであらゆるものが党益を追求する戦略に組み込まれている。
中国はこのような共産党独裁の国ながら、自由貿易と市場主義の恩恵を受けて著しい経済成長を遂げた。だが、勝ち組になった今日、素材供給網を政治利用するのは遺憾なことだ。ことに首相の国会答弁撤回を突き付けて行われていることであり、わが国の政治に対する不当な圧力である。
新たな供給源構築を
G7財務相会合に出席した片山さつき財務相は、「対中依存度をスピード感を持って引き下げることでほぼ合意した」と明らかにしており、会議に参加したG7、豪州、インド、メキシコ、韓国などと共に新たな供給源を築くべきだ。また、中国が日本への輸出規制を撤回するよう望みたい。






