
2024年元日に発生した能登半島地震から2年が経過した。復興の遅れから、被害の大きかった奥能登地方では、人口流出に拍車が掛かっている。住居と生業の再生を急ぎ、創造的復興への展望を開いていきたい。
進まない住居の再建
発災後の災害関連死を含む死者・行方不明者は700人に上っている。現在も1万8000人が応急仮設住宅住まいを強いられている。幹線道路などインフラ復旧は進んでいるが、奥能登4市町では約200の路線で通行止めが続いている。
人々の日常を取り戻すには住居の再建が第一だが、住宅の公費解体はほぼ完了したものの、再建には遠い。石川県の調査では、低家賃で提供される災害公営住宅の入居を希望する人が33%と一番多い。県は2986戸建設する予定だが、一部の市町でようやく建設が始まったばかりで、大半は27年度以降になる。
16年の熊本地震などと比べても、復旧・復興の遅れが目立つ。細長い半島の地形や建設費の高騰、人手不足などが影響しているが、今年はもう一段階ギアを入れ直す必要がある。
奥能登4市町の人口は昨年11月1日現在、地震発生時から7500人近く(約13%)減少した。深刻なのは、若年層の流出が続いていることだ。このままでは、人口減少で自治体を維持することも難しくなる。
若い世代が流出するのは、生業の再建が遅れていることが大きい。人口流出に少しでも歯止めをかけられるかどうかは、産業の再生のスピードに懸かっている。支援の強化が必要だ。
奥能登は、高齢者の数が全体の5割を占め、過疎化も進んでいる。一方で豊かな自然と、人情味のある地域共同体が存在する。そこに引かれ移住してきた若い人たちもいる。
農業、水産業、観光業そして伝統工芸などが能登の主要な産業だが、IT技術との連携によって新しいビジネスモデルの創出も期待できる。その担い手は若い世代が中心となる。各自治体は、若い子育て世代の移住者を受け入れる取り組みにさらに力を入れるべきだ。
若年層の人口流出は、現状の困難もあるが、将来への展望が見えないことも大きい。行政は生活環境を整備し、復興の一定程度のタイムスケジュールを基に中長期的なビジョンを示していく必要がある。
能登の困難は、全国の地方がいずれ直面する問題でもある。石川県が能登の「創造的復興」を掲げるのは、成功すれば地方再生のモデルとなるからだ。そのためにも、まずかつての日常を取り戻さなければならない。
地震発生当初、道路が寸断され多くの集落が孤立状態に置かれた。断水が続く中、井戸水などでしのいだ集落もあり、この経験が災害時の対策で有効であることが示された。僻地(へきち)での自給自足型の生活スタイルを、災害にも強い新しい生活スタイルとして深めていく動きもある。
創造的復興への道を
能登では今年、本州初となる国の特別天然記念物トキの放鳥も予定されている。豊かな自然をアピールする絶好の機会だ。さまざまな取り組みから、創造的復興へ道を開く年にしたい。






