トップオピニオン社説教育現場のAI 情報モラルしっかり教えよ【社説】

教育現場のAI 情報モラルしっかり教えよ【社説】

  2026年以降もICT(情報通信技術)の凄(すさ)まじい進展が続くとみられる。それに伴ってチャットGPTなどの生成AI(人工知能)や自動車の自動運転などが注目されている。AI技術は急速な進歩によって、政治の政策立案、経済状況や国際情勢の分析などに利用されるようになり、多岐にわたる分野で変化をもたらしている。

 環境は整備されてきた

 学校現場では19年12月に文部科学省が発表したGIGAスクール構想の下、ICT環境が整備されてきており、1人1台の情報端末を配備している。全ての児童・生徒にグローバルかつ新しい学びの形、教育の機会を提供することも学習指導要領に反映されている。

 ICT機器、AIを使うにはAIリテラシーが必要になる。AIリテラシーとは、AIの基本的な仕組みや特性、得意・不得意なことを理解し、その影響を評価しつつ、業務や日常生活で安全かつ効率的に活用できる総合的な能力のことだ。単に知識を得るだけでなく、事実と異なる情報を見抜く力や倫理的・社会的リスクを考慮して適切に使いこなす実践力が含まれる。

 昨年12月24日に東京都教育委員会が「生成AIリテラシー教材」を都内の全公立学校向けに公表した。生成AIで学ぶため、児童・生徒だけでなく、教職員の利用能率を向上させ、安全かつ効率的な利用を目指すとしている。「基礎知識から活用のポイント、利用上の注意点まで体系的に学べる教材となっている」と記している。

 教材は、それぞれ5分程度で視聴できる「導入編」「基本編」「注意編」「活用編」の動画があり、その後「トライアルシート」を活用して振り返りができる仕組みになっている。だが見る限りでは、GIGAスクール構想に向けた使い方に比重を置いているように思われる。使いこなすことは必要だが、偽情報を見抜く力の必要性や倫理的・社会的リスクを考慮する「情報モラル」の面が少ない。また、AIはデータを豊富に持っているが、生身の人間がどのように感じるかまでは計算できない。

 Z世代(1990年代半ば~2010年代初頭生まれ、デジタルネイティブ)、α世代(それ以降、マルチメディア・AIネイティブ)は、特有の価値観や行動が注目されている。それ以前、教室での一斉授業や本、雑誌、テレビ、ラジオから情報・知識を受け取っていた保護者や教員の世代にはなかなか理解できないことが多い。

 得策ではない使用制限

 Z世代やα世代はインターネットやSNSを駆使して自己表現を行い、“自由”を謳歌(おうか)し、社会とのつながりを大切にしている。彼らはスマートフォンをはじめICT機器やAIについて、保護者や教員以上の操作技術を持っている。

 一方、学校ではICT機器などを長時間使うことによる健康面の弊害、学業への悪影響なども知らせることが必要だ。使用制限をかけても、陰に隠れて使うだけで得策ではない。情報モラル、特に倫理観の部分をしっかり教え、知らず知らずのうちに他者だけでなく自分も傷つけてしまうことを伝えてほしい。

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