トップオピニオン社説新年の外交・安保 思い切った自助の努力を【社説】

新年の外交・安保 思い切った自助の努力を【社説】

 

 新たに迎えた2026年は、国際情勢の予測がこれまで以上に難しく、混迷と動乱の年になる匂いがする。ウクライナ紛争の終結は見通せず、中東情勢も複雑化する中、昨年トランプ米政権が発表した「国家安全保障戦略」は世界に衝撃を与えた。

 米国の取り込み図る中国

 米国の方針は自国領土や西半球の防衛に徹し、欧州・中東への関与は低下させるというものだ。アジアでは第1列島線での対中抑止を重視するが、専らそれは米国にとって経済的価値の高い台湾の現状維持が目的で、同盟国の防衛にコミットするか不安が残るからだ。

 一方、その中国は米国との経済対立を和解に持ち込み、トランプ政権の取り込みを図ろうとしている。米中すみ分けのG2論が力を得るようになれば、中国、さらにロシアや北朝鮮の脅威に直面している日本や韓国は自らの安保を米国に依存し続けるわけにはいかず、思い切った自助の努力が不可避である。

 高市政権は安保関連3文書の改定を急ぎ、防衛政策を大胆に見直し防衛力を増強する必要がある。その取り組みが27年末にも起こり得る台湾有事への備えとなり、米国との信頼関係強化にも資するはずだ。同盟における日本の役割拡大や秀でた先端技術の保持によって、取引重視のトランプ政権にとって魅力ある同盟国となる努力も大切だ。

 それとともに「自由で開かれたインド太平洋」の枠組みの下でオーストラリアやインドとの関係を強化し、東南アジア諸国連合(ASEAN)の海洋諸国や台湾との安保協力も進めて中国海軍の太平洋進出を阻止する防衛枠組み整備が急がれる。さらに中露の脅威に備える動きを加速させている欧州諸国との安保協力も深化させ、中露を挟撃する体制を整えることは地政学的に大きな意義を持つ。

 かように自衛隊の増強や日米同盟の深化と並び多角的な防衛協力が急がれるが、昨年の高市早苗首相の台湾有事発言を機に悪化した日中関係の立て直しも今年の大きな課題だ。

 中国は今後も激しい対日批判や威圧行為を続けるだろう。日本は挑発に乗ることなく、圧力にも屈せず、かつ不当な批判には粛々と反論するとともに自らの正当な立場を世界に発信し、中国の国際世論戦に対抗する必要がある。そして中国に侮られぬよう安易な譲歩を見せず、腰を据え慎重に改善の機会を窺(うかが)う方針を堅持することが肝要だ。

 そもそも権威主義国との折衝に当たっては、タフで粘り強い交渉力が求められるものだ。強靭(きょうじん)な外交力の保持はこれまで以上に重要な課題である。また権威主義国の仕掛ける謀略やハイブリッド戦に打ち勝つため、情報収集力やカウンターインテリジェンス(防諜〈ぼうちょう〉)の能力も強化せねばならない。高市政権は国家情報局の創設やスパイ防止法の制定に取り組んでいるが、一刻も早い体制の整備が望まれる。

 高まる脅威への備え急げ

 今年は国際情勢の変動に柔軟に対処し、かつ高まる脅威に備えるための体制づくりに注力する一年となすべきだ。先延ばしや猶予は許されない。日本の生存を図るための取り組みはまさに時間との競争である。

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