内外に懸案を抱えながら2026年が明けた。中国が台湾周辺海域で大演習を行い、ロシアの侵攻からもうすぐ4年になるウクライナでなお戦争が続いている。世界が不透明さと不確実さを増す中で、日本の進むべき道が問われている。
首相「列島を強く豊かに」
世界の眼(め)が戦闘の続くウクライナやパレスチナに注がれる中、中国は27年の台湾統一を目標に硬軟両面の準備を進めている。高市早苗首相の台湾有事発言への異常なまでに激しい反発はその表れである。
日本で初の女性首相となった高市氏は、昨年10月の所信表明演説で「日本列島を強く豊かにしていく」と高らかに宣言した。かつて正面から「強い日本」を掲げた首相はいなかった。男性の首相がそれを言うと「軍事大国を目指すのか」とすぐに左派から攻撃されただろう。女性ゆえに言えた面もある。
戦後80年を経てもなお、安倍晋三元首相が目指した「戦後レジームからの脱却」はなされていない。しかし80年目に、その方向へ力強く踏み出すことのできる高市政権が誕生したのは、やはりその間、空想的平和主義の誤りに日本人が気付き、世界の現実を正面から見詰めるようになったためである。
もちろん高市首相は、必要な備えをスピード感を持って進めると思われるが、軍事大国を目指してはいない。強い日本の内実は、まず強い経済、強い外交力、そして災害に強いことがその中心と思われる。
日本が強い国となり、国際社会において存在感を増すことは、日本が独立と繁栄を守るために不可欠であるだけでなく、世界の諸問題の解決にも貢献する。ロシア、中国など力による現状変更を目指す国々に対する自由陣営の抑止力が増すことは言うまでもない。また自由貿易体制の維持、地球温暖化対策などでも後ろ向きな米国へ働き掛け得る位置にある。
ただ、力の裏付けのない外交は無力でせいぜい社交で終わってしまう。そのためにも強い経済、抑止力を備えた防衛体制の構築に一層力を入れていく必要がある。高市政権は総合経済対策で人工知能(AI)や半導体などの分野で官民連携の投資に力を入れることを打ち出した。これが日本経済をもう一度世界の中心で輝かせる第一歩になることを期待したい。資源開発では、南鳥島(東京都小笠原村)沖の海底に眠るレアアースの採掘の商業ベース化に期待したい。
台湾有事に備える一方、「静かなる有事」と言われる少子高齢化、人口減少に対して、中長期的視野で施策を進めていくべきである。既に出来上がっている少子化対策の実効性を常に検証し、十分な成果が認められない場合は大胆に再構築を図る必要がある。
災害対策のモデルを
高市政権は「災害に強い日本」を目指し、令和の国土強靭(きょうじん)化対策を進め、防災庁の設立に向け準備を加速するとしている。土木偏重を避けて自然との折り合いを付け、災害情報の伝達にも力を入れたい。災害大国日本の取り組みは、温暖化で世界中の自然災害が増す中、一つのモデルケースになり得る。






