トップオピニオン社説海外この1年 和平に挑んだトランプ政権【社説】

海外この1年 和平に挑んだトランプ政権【社説】

17日、米ホワイトハウスで演説するトランプ大統領(EPA時事)

 今年は米トランプ政権がウクライナやパレスチナ自治区ガザなどを巡る和平交渉に当たり、鈍い進展ながらも一定の成果を示した。解決には困難が伴うが、紛争当事者が米国を介して交渉のテーブルに着くことは、停戦と復興を展望する空気を醸成する。戦禍拡大を防ぐ前進と受け止めたい。

 紛争仲介に意欲示す

 4年ぶりに復権し2期目に入ったトランプ大統領は、意欲的にロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と首脳会談に臨んだ。主権侵害、国際法違反となるロシアの軍事侵攻に、ゼレンスキー氏は強い憤りと被害感情を持っており、米露ウの間の距離を埋め合わせるのは難しい。

 しかし、巨額の軍事支援を続けてきた米国、欧州各国としては限度がある。ウクライナに侵攻するロシア軍に北朝鮮の派兵が加わり、ウクライナ軍は劣勢を挽回できない現実がある。

 米国とロシアによる和平案、米国とウクライナによる和平案がテーブルに乗せられ、現在の前線を境界線とする案、ロシアが要求する北大西洋条約機構(NATO)非拡大を受け入れる案、ウクライナが米国や欧州諸国に求めるウクライナへの安全保障の保証をどのようにするか、など難題は多い。しかし、重要なのは出口を模索し始めていることだ。

 イスラム組織ハマスによる大規模なイスラエル市民襲撃に端を発したガザへのイスラエル地上軍の投入は、ハマスを支援してきたイランにも飛び火した。今年はイランの地下核施設へのイスラエル軍と米軍による直接攻撃に至った。欧州にはハマス排除によるイスラエルとパレスチナ2国家共存を待望して「パレスチナ国家承認」の動きが広がった一方、米国はガザ和平の落としどころを探り、和平計画をハマスに示して「第1段階」の合意を引き出している。

 また、ルワンダとコンゴ民主共和国の和平協定、アルメニアとアゼルバイジャンの和平協定が米ホワイトハウスで署名されたほか、タイとカンボジアの国境紛争などの停止にトランプ氏は一役買っている。一方、不法移民と麻薬の流入を国家安全保障の脅威とするトランプ政権は、ベネズエラからの麻薬密輸船を攻撃するなど治安措置において緊張を高めた側面もある。

 海洋進出により覇権主義を強める中国に対して、トランプ政権は高圧的な相互関税政策で攻勢をかけたが、中国からレアアース(希土類)輸出規制の対抗措置を突き付けられ、交渉の主導権を握ったとは言えない。12月に発表した米国家安全保障戦略では西半球(南北米大陸)を最優先戦略地域とし、大西洋対岸の欧州諸国や太平洋対岸のわが国や韓国など同盟国の防衛費増額を要請した。

 正念場迎える同盟国

 「米国を再び偉大に(MAGA)」がトランプ政権誕生の原動力であることから、これまで地球規模で行ってきた介入政策による疲弊からの国力回復が、トランプ政権の本音だろう。だが、米国が西半球で休もうとする隙を狙う中国にどう対処するのか、わが国はじめ同盟国は正念場を迎えている。

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