
日本とカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの中央アジア5カ国との初の首脳会合が開かれ、経済関係の強化やさらなる協力促進の重要性をうたう「東京宣言」が発表された。
初の首脳会合を開催
具体的には、中央アジアで5年間で総額3兆円規模のビジネスプロジェクトの目標を設定することや、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化、人工知能(AI)分野での協力パートナーシップ創設、さらに中央アジアとヨーロッパを結ぶ輸送ルート「カスピ海ルート」に関する協力の促進、拡大や、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化への相互協力などが盛り込まれた。
1991年にソ連から独立した中央アジア5カ国だが、今も政治や安全保障面でロシアの影響力が強い。加えて近年では、経済力を梃子(てこ)に中国が急速に進出している。
日本としては、自立的かつ持続的な発展を促すとともに中露の影響力を削(そ)ぎ、中央アジアを自由で世界に開かれた地域とする狙いがある。今回の会合は、中露を牽制(けんせい)する上で意義あるものと言える。
中央アジアは、ロシアを経由せず欧州とアジアを繋(つな)ぐことができる交易の要衝として、ウクライナ戦争後、重要性が高まっているが、それとともに世界が今、強い関心を寄せているのがこの地域の豊富な鉱物資源の存在である。ハイテク産業などに欠かせない重要鉱物の生産や精錬で中国が圧倒的なシェアを有する中、経済安全保障を強化するためには、中央アジアの鉱物資源へのアクセスを確保する必要がある。先月、トランプ米大統領も5カ国首脳を招き、重要鉱物の開発で協力を深める考えを示したばかりだ。
日本は中央アジアの戦略的な重要性に鑑み、2004年に「中央アジア+日本」対話の枠組みを立ち上げるなど、当初、他国をリードする動きを見せていた。しかし、その後の20年余りで外相会合が開かれたのは9回に留(とど)まり、15年の安倍晋三氏を最後に日本の首相は10年間一度も足を運んでいない。昨年、当時の岸田文雄首相による訪問や首脳会合開催を目指したが実現に至らず、今回ようやく日本での首脳会合に漕(こ)ぎ着けた。
その間、中国や韓国、欧州が先行してこの地域に進出しており、わが国の出遅れ感は否めない。中央アジアと強い繋がりを持つ中露や進出を加速させている各国との競争を制し、重要鉱物の安定的な確保やサプライチェーンの強靭(きょうじん)化を図るには、経済支援だけでなく天然資源開発の技術協力や物流、環境、人材など日本が得意とする分野を軸に幅広い協力を継続させていくことが求められる。
きめ細かい外交が必要
5カ国のうちカザフやウズベクなどは鉱物資源が豊富だが、キルギスやタジクのようにロシアへの出稼ぎ労働で経済を支えている国もある。中央アジアと一括(くく)りにせず、また資源獲得ばかりに走ることなく、各国の実情に応じた日本らしいきめ細かい外交も必要だ。そうした取り組みが中央アジア各国との友好と信頼関係構築に結び付く。






