国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会で無形文化遺産に6件の行事や技術の追加登録が決まった。「書道」などの新規登録を進めるとともに、継承・保存のための知名度アップや担い手の育成に力を入れる必要がある。
「屋台行事」などを追加
追加登録が決まったのは、「和紙」に越前鳥の子紙(福井県越前市)、「山・鉾・屋台行事」に常陸大津の御船祭(茨城県北茨城市)など4件、「伝統建築工匠の技」に手織中継表製作など。今回の決定は「和紙」などの既に登録されているグループを拡張するもので、日本の無形文化遺産数は23から変わらない。
新たに6件が既に登録されている文化遺産と同等の価値を認められたことは喜ばしい。追加登録によって石州半紙(島根)など3件だった「和紙」は4件に、「屋台行事」は京都祇園祭の山鉾行事(京都)など33件で構成され、追加により37件に増える。「工匠の技」は17件から18件になる。政府間委員会は決議で、祭りについて「地域結束の要」としたほか、和紙に関しては、原材料の植物を過度に採取せず「持続可能性を体現している」と評価している。
追加登録によって、地域の活性化につながることも期待される。ただ世界的な価値を認められたとはいえ、国内ではこれまでその地域で有名でも全国的にはよく知られてこなかったものも多い。追加登録は、まずわれわれ日本人が、国内の各地方で継承されてきた伝統行事や匠の技の価値を知り、再認識することに意味がある。
登録で箔(はく)が付き、今後、継承・保存のための何らかの支援を受けられる可能性も出てくる。しかし、今後も末永くこれらの文化遺産を継承・保存するための最大の課題は、その担い手を育成し絶やさないことだ。
これまでに無形文化遺産に登録された23件を見ても多くは伝統芸能などが多い。それらの担い手は地方の保存団体である。しかし、少子高齢化によって今後、その担い手不足が懸念される。実際に日本の各地方には無形文化遺産に登録されていない数多くの伝統芸能や祭礼があるが、継承・保存が難しくなったものも少なくない。
祭礼やそれに付随する伝統芸能は、過疎化する地域や集落において共同体の存在を確認する要素であり、共同体維持の上で重要な役割を果たしている。地方からの人口の流出を少しでも抑えるためにも、その担い手の育成が必要だ。
これまで担い手の多くはその地域出身の人々であったが、過疎化が進む将来を見据えて地域以外の人々を担い手とすることも考えるべきだろう。最近、注目される関係人口を増やし、その地域に関わりを持つ新しい担い手となってもらうことも求められる。逆にそのような祭礼や芸能を糸口に関係人口を増やしていく方法もある。
「書道」などの登録も
日本が次の新規登録候補として提出している「書道」は26年に審査を受ける予定となっている。28年には「神楽」、30年に「温泉文化」の登録を申請する。これらの登録もしっかり進めていきたい。






