
首都圏で相次いだ強盗事件を巡り、昨年10月に千葉県市川市で女性が暴行を受け現金などを奪われた事件を首謀したとして、警視庁など4都県警の合同捜査本部が、強盗傷害と住居侵入の容疑で男4人を逮捕した。
捜査本部は一連の事件で50人以上の実行役らを逮捕したが、首謀者の摘発は初めてだ。匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の壊滅につなげなければならない。
750台のスマホ解析
逮捕容疑は昨年10月、市川市の住宅で住人女性に暴行を加えて2カ月の重傷を負わせ、現金のほかキャッシュカードや軽乗用車などを奪ったというもの。女性は粘着テープで縛られ、埼玉県内のホテルに約14時間監禁された。
捜査本部などによると、4人はSNSで実行役らを募集し、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で女性宅の住所や襲撃方法などを指示していた。実行役は「指を折れ」「腹を蹴れ」などの指示に従い、女性に暴行を繰り返したという。トクリュウでは、直接手を下した実行役もさることながら、自らは姿を隠して犯罪を指示する首謀者が一段と卑劣かつ凶悪で許し難い。実行役は首謀者との面識はほとんどないとみられる。
首都圏などでは昨年8月末以降、闇バイトによる強盗や住居侵入などが30件近く発生。横浜市青葉区の事件では、住人男性が死亡した。警視庁と埼玉、千葉、神奈川各県警は同10月、約300人態勢の合同捜査本部を設置。強盗18事件を対象に1年以上にわたり指示系統の捜査を続けていた。
捜査本部の対象事件だけでなく、類似事件も含め計約750台のスマートフォンを押収して地道に解析した。アカウント名は用途や相手によってたびたび変更されるなどしており、50を超えたという。捜査本部は、防犯カメラ映像をつなぎ合わせる「リレー捜査」も展開。回収役や強奪金の動きを追跡するなど証拠を積み上げ、首謀者に渡ったことを確認した。
今回の首謀者は別々の場所で連携しながら指示を出していたとみられ、立証のハードルは高かった。親家和仁警視庁刑事部長は「一つ一つでは決め手にならないような情報をつなぎ合わせることで、事件の全体像を明らかにした」と述べている。今回の捜査から教訓を引き出し、トクリュウ壊滅に向けて生かす必要がある。
日本でも「国家警察」を
警察庁と警視庁は今年10月、トクリュウ対策を強化するために組織を改編して専門の新組織を立ち上げた。日本では都道府県ごとに警察本部があり、管轄内での活動が原則となっているが、トクリュウによる犯罪は実行役が次々と入れ替わり、管轄を越えるケースが多い。このため警察法を適用し、警視庁が警察庁長官の指示で管轄外でも捜査を行う。いわば「日本版FBI(米連邦捜査局)」だ。
ただFBIの捜査官は米国全土で捜査・逮捕できる権限を持つが、警察庁の捜査権は限られている。日本でもトクリュウだけでなく国際犯罪などにも対応するため、捜査権を持つ本格的な「国家警察」を創設すべきだ。






