トップオピニオン社説米安保戦略 不可欠な同盟国の防衛努力【社説】

米安保戦略 不可欠な同盟国の防衛努力【社説】

トランプ米大統領=11月17日、ワシントン(EPA時事)

 米国のトランプ政権が外交・安全保障の基本方針となる「国家安全保障戦略」を発表し、南北米大陸の位置する西半球重視の地域戦略を打ち出し、北大西洋条約機構(NATO)や日本、韓国など同盟国に対しては防衛費の増額を要求した。国力の消耗がトランプ政権誕生の背景にあり、同盟国の役割が増すことになる。

 同盟国に防衛費増額促す

 第2次トランプ政権で初となる安保戦略は、トランプ氏が2016年大統領選に挑んで以来の「アメリカ・ファースト(米国第一)」の主張に裏打ちされている。移民・麻薬の中南米からの流入を脅威とみて安全保障上の最優先課題とし、NATOや日本に対しては相応の防衛負担を要求するものだ。

 共和党の伝統的なモンロー主義への回帰とみる向きもあるが、第2次世界大戦以前のような欧州中心の国際政治と距離を置く過去の事情とは違い、現実に米国は不法移民や麻薬によって社会が不健全に変化していく状況にある。「西半球が安定し、統治が十分に機能するようにし、大規模な移民流入を防ぐ」ことが米国の国家安全保障の喫緊課題になった。

 共和党の伝統的なキリスト教の支持基盤が揺らぎ、多様性社会を推進する民主党でさえニューヨーク市長選など各選挙予備選で穏健派が過激なリベラル派に負けるケースが増えている。米国第一主義を掲げるトランプ大統領は来年の中間選挙を念頭に国内を優先し、ウクライナへの武器供与はじめ世界で費やす安全保障上の予算の縮減を図ろうとしていることは明らかだ。

 このためロシアのウクライナに対する軍事侵攻について「敵対行為を迅速に終結させるために交渉することは、米国の核心的利益」とし、ウクライナ国家の存続を可能にする戦略を描いている。その際、増大したロシアの脅威に対処する欧州正面のNATO諸国に防衛費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げることを要求した。

 中国に対しては「最大の競争相手」と位置付け、米国の30年以上にわたる「中国を経済的に取り込めば国際秩序に従う」という前提を覆す立場を取っており、インド太平洋地域で中国との「競争に勝ち抜かなければならない」と訴えている。一方で、中国の「台湾統一」の動きについては「台湾奪取を阻止するため米国と同盟国の能力を強化する」と明記している。

 この点で、日本や韓国に対し防衛費の増額を促していることには留意しなければならない。もともとトランプ氏は、16年大統領選で日本の「安保ただ乗り論」を鵜呑(うの)みにした対日批判などの暴言で注目を浴びたこともある。しかし大統領就任後、日米安保体制における在日米軍と防衛省・自衛隊の存在感について認識は改まったとみえ、2期目においては逆に期待を高めたのではないか。

 独立国としての防衛力を

 高市早苗首相との日米首脳会談で、トランプ氏は日米同盟を「世界で最も偉大な同盟」と表現するまでになった。トランプ政権の安保戦略の要請を奇貨とし、わが国は自立した独立国としての防衛力を備えるべきだ。

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