トップオピニオン社説泊原発容認 再稼働で電力供給強化を【社説】

泊原発容認 再稼働で電力供給強化を【社説】

北海道電力泊原発(泊村)=2024年3月、北海道岩内町から撮影

 北海道の鈴木直道知事が、北海道電力泊原発3号機(泊村)の再稼働について「原発活用は当面取り得る現実的な選択と考えている」と述べ、容認する考えを表明した。

 需要が大幅増の見通し

 鈴木氏は道議会の答弁で、今後の需要拡大を見据えた電力の安定供給の必要性や、再稼働に伴う電気料金の引き下げ効果、原発の脱炭素性などに言及。早ければ今月上旬にも最終判断する方向だ。

 北海道には半導体メーカーのラピダス(東京)が進出し、2027年度を目標とする先端半導体の量産化が始まれば、道内の電力需要は大幅に増える見通しだ。道内ではこのほかソフトバンクや東急不動産などが大規模データセンターの建設を進めており、電力需給を調整する電力広域的運営推進機関は、30年度の道内の電力需要は24年度比で約12%増えると試算。再稼働すれば泊原発は旺盛な電力需要を支える基幹電源となる。

 一方、北海道の電気料金は「日本一高い」とされ、道内の経済成長の阻害要因となっている。北海道電は今年10月、3号機の再稼働後には家庭用電気料金が11%程度引き下げられるとの見通しを公表し、再稼働への理解を求めていた。

 泊原発では12年5月に3号機が停止。北海道電は13年7月の新規制基準施行初日に審査を申請したが、地震や津波対策に関する同社の説明などに時間を要し、審査は12年近くに及んだ。

 全3基の停止中は火力発電に頼る状態で、18年9月の北海道胆振東部地震では苫東厚真火力発電所(厚真町)が被災し、道内ほぼ全域の295万戸で大規模停電(ブラックアウト)を引き起こした。この時、泊原発が再稼働していれば、ブラックアウトは発生しなかった可能性が高いとの指摘も出ている。真冬の北海道で停電が起きれば、命の危険にさらされるケースも出てくるだろう。再稼働で電力供給を強化する意義は大きい。

 政府は今年2月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、二酸化炭素(CO2)を排出しない原発を「最大限活用する」方針を明記。過去の計画の「可能な限り依存度を低減する」との文言を消し、再稼働と建て替えの推進を打ち出すなど11年3月の東京電力福島第1原発事故後の政策を転換した。先月には、新潟県の花角英世知事も東電柏崎刈羽原発(同県)の再稼働を容認する意向を表明した。原発の積極活用で電力需要の増加に対応すべきだ。

 最終処分場への理解得よ

 道内では原発から出る「核のごみ」(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向け、寿都町と神恵内村が第1段階の「文献調査」を終えたが、鈴木氏は知事の同意が必要な第2段階の「概要調査」について、処分場選定が「北海道だけの問題」になることを懸念し「現時点で反対」との立場だ。

 最終処分場がなければ、使用済み燃料の再利用を目指す「核燃料サイクル」を確立できず、各原発で増え続ける使用済み燃料の保管容量もいずれ上限に達するだろう。政府は鈴木氏や道民だけでなく、国民全体の理解を得ていく必要がある。

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