トップオピニオン社説党首討論 国益無視の立民に反省なし【社説】

党首討論 国益無視の立民に反省なし【社説】

党首討論に臨む高市早苗首相(写真左)と立憲民主党の野田佳彦代表=26日午後、国会内

 高市早苗政権が発足して野党4党首との初の党首討論が行われた。高市首相の台湾有事答弁を引き金に日中関係が悪化していることについて立憲民主党の野田佳彦代表は、岡田克也党常任顧問による国益無視の執拗(しつよう)な質問への反省を述べなかった。

 他の野党とも短時間の議論しかできず、首相の協力要請に合意した程度で、全体的に盛り上がりに欠ける対決となった。

悪化原因なすり付け

 党首討論は、与野党の党首が国家の根幹に関わる政策を、大所高所から論じ合うために設けられた。野田氏は「国家百年の大計」として日中関係の重要性を指摘。台湾有事が「存立危機事態」になり得るとした7日の衆院予算委員会での高市首相の発言を引用し、この答弁により「日中関係が悪化した」と批判。答弁について「政府内での事前調整がなく独断専行だった」と追及した。

 これに対して高市首相は「具体的な事例を挙げて聞かれたので、その範囲で誠実に答えたつもりだ」と反論。存立危機事態について「実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して判断する」と従来の政府見解を繰り返した。

 問題とすべきは、予算委で追及した岡田氏の姿勢とそれをかばう野田氏の責任だ。首相は、具体論に踏み込まなければ野党に「予算委を止められる可能性もある」と述べた。

 野田氏は「質問者が批判される筋合いはない。外相を経験した野党議員が安全保障の観点から質問するのは当たり前だ」との考えだが、それには条件がいる。外相経験者が、野党になったからといって国益を考慮せず一線を越えさせるために質問していいとはならない。

 岡田氏は回答可能な範囲を知っていたはずだ。しかし、国会を止めることを目的とするかのように挑発的な質問を続けた。岡田氏には衆院初当選以来、論争に勝つことを第一とし、達成できることを価値視する性向がある。

 首相の答弁は従来の政府見解を「完全に維持」している。それにもかかわらず、しつこく迫った岡田氏の責任を棚上げし、日中関係の悪化の原因を首相になすり付ける野田氏の姿勢は不誠実そのものである。

 毎回の党首討論が、野党側から与党側への質問の一方通行であるため、予算委の質疑の域を超えられない。大局的に国策を論じ合うのであれば、双方向の質疑が必要だろう。その点、今回、高市首相に質問してほしかったのは、立民の存立危機事態についての見解だ。

枝野氏豹変の説明を

 枝野幸男党最高顧問はこのほど、集団的自衛権の限定行使容認を含む安保法制について「違憲の部分はない」と述べた。立民は基本政策で「安保法制の違憲部分を廃止する」と明記し、国政選挙も公約に掲げて戦ってきた、いわば立党の原点のはずだ。党創設者・枝野氏の豹変(ひょうへん)を野田氏はどう説明するのか聞きたかった。

 野党第1党が安保問題の根幹で揺れ、党内に亀裂が生じるようでは今後の安保政策の議論に影響する可能性があるからだ。

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