
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、新潟県の花角英世知事が再稼働容認の意向を表明した。
今後予想される電力需要の増加に対応できるだけでなく、再稼働が進む西日本と比べ、電気料金が高い首都圏での値下げも期待できる。花角氏の判断を歓迎したい。
早ければ今年度内にも
来月開会の県議会も同意するとみられ、再稼働に必要な地元手続きは年内にも完了する見通しだ。早ければ今年度内にも再稼働するという。
人工知能(AI)普及に伴うデータセンター増加などで電力需要の大幅増が見込まれる中、再稼働の意義は大きい。電気料金を低く抑えることができれば物価高対策の後押しともなる。少ない燃料で大きなエネルギーを生み出すことのできる原発は、エネルギー安全保障上も重要だと言える。
政府は2011年3月の東電福島第1原発事故以降、原発について「可能な限り依存度を低減する」としてきた。しかし岸田政権下で方針転換し、今年2月に策定したエネルギー基本計画には「最大限活用」を盛り込んでいる。
柏崎刈羽原発が実際に再稼働した場合、東電の原発では事故後初となる。ただ県民意識調査では、再稼働に肯定的な人が全体の50%、否定的な人は47%と拮抗(きっこう)している。30㌔圏内の9市町村では、4市で再稼働に否定的な回答が過半数を占めるなど信頼回復は道半ばだ。東電は事故の当事者として、原発の安全確保と電力の安定供給に万全を期す必要がある。
一方で東電が原発を稼働させるのは、12年3月に柏崎刈羽原発6号機が停止して以来、十数年ぶりとなる。東電によると、柏崎刈羽原発の運転員の約4割が、稼働中の原子炉を運転した経験がない。東電は、未経験の運転員が十分に技術を習得できるよう研修の充実などに努めるべきだ。
テロ対策も大きな課題だ。東電は13年9月、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に必要な審査を原子力規制委員会に申請。17年12月に新規制基準への適合を認められたが、21年に中央制御室への不正入室や、侵入検知装置の故障などテロ対策の不備が次々と表面化した。同年4月、規制委は是正措置命令を出し、再稼働に向けた準備が事実上不可能となった経緯がある。これで再稼働までの期間が長引いたことは遺憾だ。東電は自然災害による事故だけでなく、破壊工作に対する社員の危機意識も高めていかなければならない。
東電の役割は大きい
原発を巡っては、関西電力が美浜原発(福井県美浜町)周辺で新設に向けた地質調査を開始した。関電は運転可能な原発全7基を既に再稼働させているので、電力需要増加に対応するには新たな電源を確保する必要があるためだ。従来の原発より安全性を高めた「革新軽水炉」を念頭に置いている。福島の事故後、国内で初めて新設に向けた動きが具体化した。
国民の根強い不安を払拭し、原発を一層積極的に活用する上でも、柏崎刈羽原発を再稼働させる東電の役割は大きい。





