
ブラジル北部ベレンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が閉幕した。争点となっていた化石燃料からの脱却の実現に向けたロードマップ(工程表)策定は見送られた。先進国、途上国、産油国の対立を克服し、地球温暖化対策へ粘り強い努力が求められる。
「脱化石」工程表は見送り
成果文書では、産業革命前と比べ世界の平均気温の上昇を1・5度以内に抑える目標達成に向け、温室効果ガス排出削減の取り組みを加速させるとしている。途上国支援では、気候変動の被害を軽減する「適応策」の資金を「2035年までに少なくとも3倍に増やす努力を追求する」ことが明記された。
議長国ブラジルのルラ大統領が提案していた脱化石燃料に向けた工程表の作成は、欧州連合(EU)諸国や島嶼(とうしょ)国などが賛同したものの、産油国などの強い反発で見送られた。そればかりか、成果文書では当初案に盛り込まれていた「化石燃料からの脱却の加速」について触れられることもなく、同様の内容を盛り込んだ23年のCOP28の合意内容を再確認するにとどめ、来年議長主導の国際協議の場で議論することとなった。議長国の努力によって決裂だけは避けられた形だ。
海面の上昇、洪水や干ばつ、山火事など気候変動による被害は世界各地で頻発し、資金力の弱い途上国などにとってはより深刻な問題だ。対策への資金援助で具体的な進展があったのは一定の成果と言える。しかし、これは一種の対症療法だ。根本的で具体的な取り組みを加速させるために、もう一度、現状の認識と将来への危機感の共有を図る必要がある。
気候変動を巡っては、地球上の国であれば深刻な影響を受けざるを得ない。このような影響は、ある一定の段階になると一気に加速するとの予測もある。今のうちに手を打たないと取り返しのつかない状況に陥る恐れがある。
世界で最も多く温室効果ガスを排出しているのは中国で、156億トンに上っている。続いて米国59億トン、インド44億トンとなっている。中でも中国の排出量は突出しており、最大排出国として責任を果たすべきである。太陽光パネルの輸出など温暖化対策ビジネスには熱心だが、国際交渉では途上国の立場に立つというのは大国の取るべき態度ではない。
パリ協定からの離脱を決めた米国は今会議を欠席した。米国の離脱は気候変動に直面する国際社会にとって大きな痛手だ。そういう中で米印両国と良好な関係にあり、温室効果ガス対策でさまざまな先端的技術を有する日本の役割は大きい。
イニシアチブの発揮を
50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとすることを掲げるわが国としては、13年度比で35年度に60%、40年度に73%削減することを目指すとした国際公約の実現に向けた取り組みを着実に進めなければならない。それと並行しつつ、米国への働き掛けやインドとの技術協力などを進めていく必要がある。気候変動問題で日本はもっとイニシアチブを発揮すべきである。






