トップオピニオン社説総合経済対策 家計、投資重視を評価する【社説】

総合経済対策 家計、投資重視を評価する【社説】

 「強い経済」の実現を掲げる高市政権が初の総合経済対策を決定した。「責任ある積極財政」の方針の下、物価高対策や成長投資などを柱に大型減税を含め21・3兆円の国費を投入する。

 物価高を背景に低成長が続く日本経済を新たな段階へ導く経済政策として評価したい。円安進行など課題もあるが、「総力結集」で乗り越えてほしい。

 消費回復へ手厚い措置

 強い経済への第一歩は、個人消費の回復である。個人消費は7~9月期も実質前期比0・1%増と小幅な伸びにとどまり、勢いがない。物価高が重しとなっているためで、対策は第一の柱として物価高に伴う家計の負担軽減を最優先に11・7兆円と手厚い措置を講じた。

 来年1~3月に実施する電気・ガス代の補助は、家庭の光熱費を計7000円程度軽減。ガソリンの暫定税率廃止では、1世帯当たり年間1万2000円の出費を抑制する効果があるという。また所得税の課税最低ライン「年収の壁」の160万円への引き上げにより、来月の年末調整では納税者1人当たり2万~4万円の負担軽減になる。

 自治体が柔軟に使い道を決められる「重点支援地方交付金」の拡充では、食料品の値上がりに対応するおこめ券などの「特別枠」を設け、1人3000円程度を支援する。制度設計にやや難もあるが、高市早苗首相の消費回復への決意のほどがうかがえる。

 第2の柱である「危機管理投資・成長投資」では7・2兆円を計上した。量子や重要鉱物など経済安全保障上、不可欠な分野を強化するための新たな財源確保の枠組みを検討。また、国力の維持に必須ながら国際競争力が低下している造船業の再生へ10年間の基金を創設し、官民で1兆円規模の投資を実現するという。第3の柱の「防衛力と外交力の強化」に1・7兆円を充てる。特に第2、第3の政策は「高市カラー」というべき政策であり、評価したい。

 対策の裏付けとなる2025年度補正予算案の一般会計歳出は17・7兆円。当初予算と合わせた国債発行額について、首相は昨年度(42・1兆円)を「下回る見込み」といい、「財政の持続可能性にも十分配慮した」と強調した。

 「責任ある積極財政」は、財政出動で高成長を志向し、経済のパイを大きくすることで、政府債務残高を対GDP(国内総生産)比で減らしていくという考え方であり、首相の「財政の持続可能性への配慮」発言も肯(うなず)ける。ただ、金融為替市場では財政悪化への懸念と受け止められ、長期金利上昇や円安進行を招いている。円安は輸入インフレを引き起こし、さらなる物価高を招きかねないだけに厄介だ。

 円安阻止へ為替介入も

 首相としてはまず市場に対し、政府債務残高を対GDP比で減らすことで財政健全化を進めるメリットについて、より丁寧に説明する必要があろう。あとは成長率や税収の向上など実績で示すほかない。

 実績が出るまでには時間がかかる。その間の急激な円安進行には為替介入もやむを得ない。円安阻止が目的であるため、米国の理解も得やすいだろう。

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