トップオピニオン社説非核三原則 「持ち込ませず」の見直しを【社説】

非核三原則 「持ち込ませず」の見直しを【社説】

 高市政権は、中露朝3国の軍事的脅威の増大など厳しい国際情勢に対処するため、去る10月に自民党と日本維新の会との間で結ばれた「連立政権合意書」に基づき、安全保障関連3文書を来年末までに前倒しで改定する方針を打ち出しており、自民党内の検討も始まった。改定に際しての主な論点の一つに、非核三原則の見直し問題がある。

 核の傘に穴開ける政策

 非核三原則とは、1967年に当時の佐藤栄作首相が衆議院予算委員会で核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」と述べた答弁がその起源で、歴代の政権がこれを踏襲し、現行の3文書の中でも「非核三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらない」(「国家安全保障戦略」)と明記されている。

 この非核三原則を堅持するかについて、高市早苗首相は国会での質疑で「3文書の見直しはこれから作業が始まるので、申し上げる段階にない」と答え明言を避けている。だが高市首相はこれまで三原則の「持たず、作らず」は遵守(じゅんしゅ)するが「持ち込ませず」は見直す必要があるとの主張を繰り返しており、改定作業の中で検討が加えられることは間違いない。

 非核三原則は日本国憲法の要請に基づくものではなく、国会対策の必要から生まれたものだ。歴代の政権が踏襲したため、いつしか国是の如(ごと)く扱われるようになったが、あくまでも政府・与党の「政策」である。戦後最も厳しく複雑な戦略環境の変化を踏まえれば「持ち込ませず」の原則は廃止を含め見直しが必要だ。

 そもそも「持ち込ませず」は、核抑止の観点から大きな問題を抱えている。日本は日米同盟を外交の基軸としており、安全保障は米国が提供する拡大核抑止(核の傘)に依存している。それにも拘(かかわ)らず、日本の領土領海領空に米国の核兵器が持ち込まれることを拒絶するのは、核の傘に穴を開ける愚挙であり、核抑止の理論とは矛盾している。

 また米国は、どこにどれほどの核兵器を配備しているかについて一切明らかにしていない。その曖昧さが核抑止力を高めているのであり、核兵器のないことを意味する「持ち込ませず」は、こうした米国の核抑止政策にも抵触するものである。

 さらに被爆国としての核アレルギーの強さ故に、時の政権が世論の反発を恐れ、米国の核戦力に日本の安全保障を託しながら、他方で日本国内では核兵器の持ち込みを認めずの原則を掲げるのは、内政と外交の一貫性を欠いた自国中心の身勝手な論理である。冷戦時代における日米の核の“密約”も、こうした不健全な政策が生み出した副産物にほかならない。

 抑止向上に資する原則を

 急速に軍備を増強し、核兵器の威圧を繰り返す中露朝3国の脅威に直面している日本は、自らの防衛力を早急に強化するとともに、米国が提供する核抑止の信憑性(クレディビリティー)を高める必要に迫られている。

 そうした取り組みの一環として、3文書の改定に際し、非核三原則の「持ち込ませず」は廃止するか、核抑止力の向上に資するような原則に改めるべきである。

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