トップオピニオン社説7~9月期GDP 経済対策で内需の強化図れ【社説】

7~9月期GDP 経済対策で内需の強化図れ【社説】

 2025年7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、トランプ米政権の高関税措置による影響が本格化し輸出が落ち込んだことなどから、6四半期ぶりにマイナス成長に転じた。

 長引く物価高から個人消費は勢いを欠いたままで、外需の落ち込みをカバーできずにいる。政府が近く決定する経済対策は内需を強化するため、規模だけでなく、内需主導経済を実現するための基にするという強い覚悟を持って策定してほしい。

 緩やかな回復軌道続く

 6期ぶりのマイナス成長は、トランプ関税の影響本格化による輸出の落ち込みと住宅投資の大幅な減少が主因である。

 前期比1・2%減となった輸出は米国向け自動車が大幅に減少。日本メーカーは高関税の発動に対し、輸出価格を引き下げて販売水準を維持してきたが、7~9月期は輸出台数も落ち込んだ。サービス輸出に計上されるインバウンド(訪日客)需要もマイナスに転じている。

 もう一つの住宅投資は9・4%減。4月の省エネ基準への適合義務化を受け、3月までに生じた駆け込み需要の反動減が工事の進捗(しんちょく)ペースに応じて計上されるため、7~9月期にその影響が顕著になったからである。

 これらの特殊要因を除けば、内需の柱である個人消費は6期連続、設備投資も4期連続のプラスを維持しており、緩やかな回復基調が続いていると言える。ただ、回復は文字通り緩やかで力強さ、勢いがない。個人消費は7~9月期も0・1%増と小幅にとどまった。

 原因は無論、長引く物価高である。消費者物価はコメ価格の高騰もあり、3%前後の上昇が続く。食品の値上げは11月までに2万品目を超え、前年(1万2520品目)を6割以上も上回る。実質賃金は9カ月連続マイナスで、家計は依然として節約志向から抜け出せない。輸入が0・1%減とマイナスなのも内需の弱さを裏付ける。

 輸出は10~12月期以降も低迷が続きそうだ。特に自動車は関税率が9月中旬に27・5%から15%に下がったものの、従来の2・5%と比べれば高水準。価格転嫁が進み価格競争力が弱まれば、販売台数が落ち込み収益の重しとなる可能性が高い。賃上げにも影響が必至で、輸出の動向には警戒が必要である。

 インバウンド需要の先行きにも不透明感が見られるだけに、日本経済を内需主導の力強い成長軌道に戻すには、物価高を上回る賃上げを早期に定着させ、個人消費を底上げすることが課題となる。経済対策が欠かせない所以(ゆえん)である。

 強い経済への覚悟示せ

 政府は近く決定する経済対策で、裏付けとなる25年度補正予算案の規模を24年度(13・9兆円)を上回る14兆円超とする方針だが、自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」は25兆円規模を打ち出した。

 政府案では冬場の電気・ガス代支援などが挙がっているが、企業の持続的賃上げの実現を支援し、力強い内需の成長を促すという首相の覚悟を試される場である。着実な成長が確認できれば、最近の財政悪化を懸念した長期金利の上昇や円安の動きも徐々に落ち着くだろう。

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