トップオピニオン社説拉致問題 米国と連携し早期解決を【社説】

拉致問題 米国と連携し早期解決を【社説】

自宅のリビングの一角に飾られた故横田滋さんの写真(中央)(横田早紀江さん提供)

 北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの事件が起きてから、あす15日で48年となる。

 高市早苗首相は拉致問題の解決に強い意欲を示している。一日も早く全被害者の帰国を実現すべきだ。

 めぐみさん事件から48年

 めぐみさんは事件当時、13歳の中学生だった。89歳の母早紀江さんは「本当にもう会えないのかなと思う時もある」と悲痛な胸の内を明かした。わが子との再会を果たせないまま過ぎた48年間は、あまりにも長い。何の罪もない家族を引き裂いた北朝鮮に強い憤りを禁じ得ない。

 早紀江さんは「どうしてこんなに大事なことが解決されないのか。あぜんとするばかりで考えようがない」とも述べた。被害者の親世代で存命しているのは早紀江さんだけだ。残された時間は少ない。政府はめぐみさんをはじめとする拉致被害者の即時帰国実現に全力を挙げなければならない。

 東京都内では今月、拉致被害者の帰国を求める「国民大集会」が開かれ、首相は「既に北朝鮮側には首脳会談をしたい旨を伝えている」と明言。「私の代で何としても突破口を開く」と決意を表明した。木原稔官房長官も「日本国民として重要な問題だと、さまざまな形で国内外に示していくことが重要だ」と指摘した。

 先月来日し、首相と会談したトランプ米大統領は、被害者家族らと面会して「やれることは全てやる」と強調した。トランプ氏は第1次政権時の2017年と19年の来日時にも面会しているほか、17年の国連総会の演説で拉致問題を取り上げるなど高い関心を示している。

 面会後、めぐみさんの弟拓也さんは「大統領と高市首相の個人的な絆の中で問題解決の具体的な動きに転じてほしい」と期待を込めた。首相は米国とも連携し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記を交渉のテーブルに着かせる必要がある。

 北朝鮮が日本人を拉致したのは、日本人に成り済まして活動する工作員への教育のためだったとされている。1987年の大韓航空機爆破事件の実行犯だった北朝鮮の金賢姫元工作員に日本語を教えたのは、拉致被害者の田口八重子さんだった。

 政府が拉致被害者と認定した17人のうち5人は帰国したが、北朝鮮は、めぐみさんら8人は死亡、4人は未入国として「拉致問題は解決済み」と主張している。だが北朝鮮が提供しためぐみさんの「遺骨」が、日本政府のDNA型鑑定で別人のものと判明するなど、8人死亡の明確な根拠は示されていない。このほか、拉致の可能性が排除できない「特定失踪者」が800人以上存在する。

 スパイ防止法の制定急げ

 拉致が許されないことはもちろんだが、多くの国民を奪われた日本の側にも問題があったと言わざるを得ない。拉致は北朝鮮の工作員と共に、日本在住の「土台人」と呼ばれる協力者によって実行された。日本にスパイ防止法があれば工作員や土台人を取り締まることができ、拉致を防げた可能性が高い。

 首相は拉致問題の解決と共にスパイ防止法の制定を急がなければならない。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »