国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)がブラジル・ベレンで開幕し、気候変動対策が話し合われるほか、アマゾン熱帯雨林地帯の保護が重要なテーマになる。地球温暖化防止のための京都議定書発効から20年、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」採択から10年の節目であり、対策を前進させる必要がある。
米国離脱の隙を突く中国
COP30が開催されているベレンはアマゾン熱帯雨林地帯で、議長国ブラジルのルラ大統領は気候変動対策を強化する必要性を強調した。また、「気候変動を否定する者たちに新たな敗北を与える時が来た」と訴えたが、温暖化で敗北するとしたら人類を含む地球環境であり、政治対立を煽(あお)るよりも協力を促すべきだ。
ルラ氏は熱帯林永久基金(TFFF)を発足させた。昨年のCOP29では、年間3000億㌦の途上国支援のための新たな気候資金目標が定められたが、インドはさらに増額を求めて反対した。資金要求の一方で、公平な分配や効果については議論がある。
また、気候変動対策は地球規模の対策だが、資金供出などを巡り、先進国と途上国との対立が生じているほか、利害が絡む産業界からの反対も出ている。米国のパリ協定離脱に顕著に表れた反グローバリズムの潮流も世界各国で起きている。
トランプ米大統領は「気候変動は起きていない」として、今年1月の2期目就任時に再びパリ協定からの離脱を決定した。米国の不在の隙を突く中国にとっては、温室効果ガスを排出しない電気自動車(EV)や太陽光パネルの売り込みを図る好機となる。米国の無関心が、環境問題を通して中国の世界戦略を後押ししないか留意する必要がある。
わが国でも温暖化の影響は著しい。今年の暑さは厳しく、観測史上最も暑い夏となり、東京都心で35度以上の猛暑日は29日と過去最多を記録した。激甚災害となる集中豪雨による水害も例年のように発生している。
わが国は石原宏高環境相はじめ政府代表団が参加するが、国際公約した対策を着実に実行すべきだ。政府は2月に地球温暖化対策計画を閣議決定し、2050年のネット・ゼロ(排出される温室効果ガスの量と、吸収・除去される量が均衡している状態)実現を目指し、温室効果ガスを13年度比で35年度に60%、40年度に73%削減することを目指している。
そのための方策として、再生可能エネルギー・原子力の最大限の活用、水素、アンモニアの利用拡大、二酸化炭素を回収・利用・貯留する技術の導入、脱炭素地域の創出、温室効果ガスの排出量に応じて金銭負担を課すカーボンプライシングとして「排出量取引制度」を26年度から、「化石燃料賦課金」を28年度から導入することなどが進められている。
新産業で環境問題克服を
このほか、熱帯雨林の樹木を伐採しないで済む合成木材の利用促進、原発の次世代革新炉の開発、国産EVの普及など新たな産業で環境問題を克服していくべきだ。





