高市早苗首相は衆院予算委員会で台湾有事について、自衛隊が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当する可能性があると答弁した。
ところが首相の答弁に対し、中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と自身のX(旧ツイッター)に投稿した。外交官が「日本の首相を殺害する」と宣言しているようなもので断じて容認できない。
「汚い首は斬ってやる」
薛氏は首相の答弁を報じた朝日新聞の記事を引用して「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」と投稿した。これが外交官の言葉かと目を疑う。
あきれるのは、これだけではない。中国外務省は投稿について「台湾への武力介入を言い立てる危険な言論に対するものだ」と擁護した。外交官の暴言を本国が謝罪するどころか正当化しているのだから言語道断だ。
薛氏は過去にもSNSで「台湾独立=戦争。はっきり言っておく!」などと過激な主張を繰り返してきた。政府は薛氏を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定して国外退去を命じるべきだ。
首相は立憲民主党の岡田克也元幹事長に対して「(中国が台湾を)北京政府の支配下に置くためにどういう手段を使うか、いろんなケースが考えられる」と指摘した上で「武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と答弁した。
「台湾有事は日本有事」だ。中国の台湾侵攻によって沖縄県・先島諸島も戦場になるとの見方も出ている。日本への攻撃がなかったとしても、台湾と日本最西端の沖縄県・与那国島との距離は約110㌔しかなく、日本の存立が脅かされる事態であることは間違いない。首相の答弁は妥当なものだと言える。
中国の習近平国家主席は台湾統一に向けて武力行使の選択肢も放棄しないと明言している。10月に開かれた中国共産党の重要会議「第20期中央委員会第4回総会(4中総会)」では、習氏の信頼の厚かった軍幹部の党籍剥奪処分を公表するなどの異変もあったが、これで台湾侵攻の可能性が低下したと考えるのは早計だろう。
今月には中国で3隻目の空母「福建」が就役。艦載機の射出用に電磁式カタパルトを装備した。6月には2隻の空母が日本の太平洋側で、台湾有事を想定した米空母迎撃の演習を行うなど活動が活発化している。
改憲で抑止力強化を
高市政権は抑止力を強化するため、防衛費を国内総生産(GDP)比2%にする目標を2年前倒しして今年度中に達成する方針を示しているほか、安全保障関連3文書も来年中に前倒し改定するとしている。
一方、安倍政権下で2015年9月に成立した安全保障関連法は集団的自衛権行使を限定容認したが、当時連立を組んでいた公明党との協議で制約の多いものとなっている。日本を守るとともに地域と世界の平和に貢献するには、憲法を改正して集団的自衛権行使を全面容認することが急がれる。





