トップオピニオン社説レアアース 日米で供給強化を進めよ【社説】

レアアース 日米で供給強化を進めよ【社説】

衆院予算委員会で答弁する高市早苗首相=7日午後、国会内

 高市早苗首相は国会の代表質問への答弁で、日本最東端の南鳥島(東京都小笠原村)周辺のレアアース(希土類)開発について「日米間の具体的な協力の進め方を検討する」と述べた。レアアースはスマートフォンなどの先端技術製品に不可欠な資源だ。商業生産の実現までには時間がかかるとしても、中長期的な観点から供給強化への取り組みを進める必要がある。

 中国が外交カードに

 採掘では世界全体の約7割、精錬では9割以上のシェアを占める中国は、レアアースを外交カードとして用いている。10月の米中首脳会談では、同月に中国政府が公表した輸出規制強化の導入延期で合意したが、米中対立が激化すれば中国が再び規制を強化する懸念は残る。

 日本は2010年9月に沖縄県・尖閣諸島沖で発生した中国漁船領海侵犯事件の際、中国に事実上の輸出停止をされた経験がある。先月の日米首脳会談では、レアアースや重要鉱物の調達など経済安全保障分野の連携拡大が確認された。首相の答弁はこれを受けたものだろう。

 南鳥島周辺の海底には、約1600万㌧のレアアースが存在する。政府は来年に水深6000㍍からレアアースを引き揚げるための実証試験を行い、28年度以降に商業生産体制を整備することを目指している。技術的なハードルは高いが、米国との協力で商業生産が実現すれば、レアアースを巡る“中国一強”を突き崩すことができる。

 ただそれまでの間は、中国への依存を低減するための取り組みが欠かせない。民主主義国で資源国であるオーストラリアでの鉱山開発や、使用済み製品からのリサイクルなどを進め、供給強化に努める必要がある。

 日本近海の海底にはレアアースのほか、次世代のエネルギー資源として期待される「メタンハイドレート」や、レアメタル(希少金属)を高濃度で含む「コバルトリッチクラスト」、海底から噴出した銅、亜鉛、金などを含む「海底熱水鉱床」が豊富に存在する。世界第6位の排他的経済水域(EEZ)の広さを生かした国産資源の開発を目指したい。

 EEZは天然資源の調査・開発や漁業活動の管理などの権利を沿岸国に認める水域だが、中国は日本のEEZに関しても攻勢を掛けている。日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)については、EEZを設定する島ではなく「岩」だと主張。中国空母が今年6月、日本の太平洋側で演習を行った際には、南鳥島や沖ノ鳥島のEEZ内を航行した。このような中国の動きに対抗するには、離島の管理強化と共に海底資源の開発が重要だと言える。

 「互恵」には程遠い現状

 このほか、東シナ海の日中中間線で中国が一方的に資源開発を進めている問題もある。日中両政府は08年6月、共同開発区域を設定することなどで合意。しかし、その後の交渉は中国漁船領海侵犯事件で中断し、中国は開発の既成事実化を図っている。先月の日中首脳会談では「戦略的互恵関係」の推進が確認されたが、「互恵」には程遠い現状だ。首相には厳しい対中姿勢を改めて求めたい。

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