
自民党の高市早苗総裁が首相に就任してから初めての各党代表質問が4日から3日間行われた。1カ月前の総裁選で「責任ある積極財政」を打ち出し、強い成長戦略を掲げた高市氏らしく、経済ビジョンや安全保障を前面に出して主張し、新しい時代の到来を感じさせてくれた。
日本維新の会の藤田文武共同代表は、国家安保戦略など安保関連3文書の改定前倒し方針について「戦略環境の変化に応じて柔軟に改定していかねばならない」と述べた上で、安保戦略への首相の認識を尋ねた。
安保強化へ待ったなし
首相は「わが国の主体的な判断の下、防衛力の抜本的強化を進めていく」と述べ、防衛費と関連予算の国内総生産(GDP)比2%達成の2年前倒しへの決意を示した。その上で、中国や北朝鮮の軍事力増強や中露朝の連携強化が見られると指摘。ロシアによるウクライナ侵略を教訓に、世界各国で無人機(ドローン)の大量運用を含む新しい戦い方や長期戦への備えが進んでいるように、安保環境の変化に対応する必要性を強調した。
立憲民主党の野田佳彦代表は「急激な予算増は無駄やコスト高につながる」と述べ、防衛費増額には慎重な考えを示した。限定的な集団的自衛権の行使を認めた安保関連法は「違憲」で「違憲部分を廃止する」という立場のままなのか。厳しい安保環境から目を背け、どう日本を守るか代案を提示しないことは無責任だ。
首相が目指す「強い経済」のビジョンは、安倍政権の経済政策(アベノミクス)を踏まえつつ、「責任ある積極財政」という独自の路線だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、物価高騰対策として、自民、公明、国民民主の「3党合意」に基づき、「ガソリンの暫定税率を廃止し、リッター当たり25円程度の値下げを図る」ことと「年収103万円の壁を178万円まで引き上げ、手取りを増やす」ことの2項目を要求した。
一方で、野田代表は「積極経済と金融緩和は物価高を招く」と指摘。政府債務残高の削減やプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化といった従来の指標をどう扱うかについて問いただした。
首相は物価対策を掲げつつ、国の経済規模に対する借金の割合を示す「債務残高対GDP比」を緩やかに引き下げることを目指している。「所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がる好循環を実現することで、税率を上げずとも税収を増加させることを目指す」という説明は、緊縮財政派にとっても分かりやすいのではないか。
年内解散否定は当然
憲法改正については「国際情勢や社会の変化に応じた改正、アップデートが必要。時代の要請に応えられる憲法を制定することは喫緊の課題」と意欲を示した。具体的には、憲法9条と緊急事態条項の改正案を発議し、国民投票の環境を早く整えると明言した。力強い決意だ。
年内解散総選挙の可能性について、首相は「政策を前に進めていくことが重要。今は考えている余裕はない」と述べた。安保や物価高対策など喫緊の課題に取り組むことが肝要だ。





