教員の働き方改革について次期学習指導要領にも記される。校務のICT(情報通信技術)化、小学校高学年から一部で導入される教科担任制などが進められ、勤務時間は短縮されつつある。クラブ活動の民間委託、通学路の見守りなどを含めた学校支援を、教職員、保護者、地域住民が一体となった「チーム学校」によって一層推し進めていかなければならない。
勤務時間の短縮進まず
10月初旬に公表された経済協力開発機構(OECD)による国際教員指導環境調査(55カ国・地域参加、昨年実施、前回調査は2018年)では、日本の小中学校教員の勤務時間が参加国・地域の中で一番長かった。小学校は週52・1時間、中学校は週55・1時間だった。教育に対する考え方、国柄が違い、一概に比べることはできないが、参加各国の平均より週10時間ほど長いのは確かだ。
事務業務はICT化が進められ、改善の兆しは見えるものの、週4~5時間で前回調査から1時間程度減ったにすぎない。教員に負担が大きいのは、都道府県や市町村の教育委員会に提出する報告書や研修リポートの作成だという。別々に実施される調査を一本化したり、校長や教頭の権限で報告を限定したりすることも考える必要がある。
課外活動は前回より週2・5時間減って5・6時間になった。部活動においては土曜、日曜の練習、試合や大会の引率を民間の地域クラブに委託したり、外部の部活動指導員に任せたりする動きが出ている。
教員の精神的重圧になっているのがモンスターペアレントへの対応だ。不可能なことを要求し、思い通りにならないと感情的、暴力的になる保護者に神経をすり減らす。文部科学省は、保護者からの理不尽な要求に個々の教員が対応せず「校長や教頭に一本化する」「難しい場合は学校外の法律の専門家(スクールロイヤー)に任せる」という指針を通知している。いじめや保護者対応について専門家に助言や指導をしてもらうシステムの導入は不可欠であろう。
学校現場の努力には限界がある。学業だけを教えればいいと考える諸外国に対し、部活動、課外授業、道徳などを通じた全人格的な教育を行う日本の良い点を残しながら教員の負担を軽減していかなければならない。
個々の教員が背負ってきた業務を教頭・副校長にシフトしている学校が多い。学校教育法では「副校長(任意設置)は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる」。教頭(原則必置)は「校長及び副校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じて児童の教育をつかさどる」となっている。
副校長・教頭に負担偏る
副校長・教頭の業務は「教委からの調査の対応」「業者など対外的な窓口業務」「児童・生徒への対応」「地域社会との連携」など多忙だ。それに加えて「モンスターペアレントへの対応」「教員が休んだ時の代理授業」が大きな負担になってきている。
教員の成り手不足は深刻だ。待遇改善はもちろんだが、教員志望者が志を持ち、喜んで働ける職場環境にしていかなければならない。





