トップオピニオン社説日米首脳会談 信頼構築に成功の高市首相【社説】

日米首脳会談 信頼構築に成功の高市首相【社説】

米海軍横須賀基地の原子力空母「ジョージ・ワシントン」に到着した高市早苗首相(右)とトランプ米大統領(中央)=28 日、神奈川県横須賀市(AFP時事)

 高市早苗首相とトランプ米大統領による日米首脳会談が行われた。トランプ氏の訪日は2019年6月以来6年ぶり4回目で、第2次政権発足後は初。今回の会談の焦点は、日米同盟強化の再確認や首脳同士の信頼関係構築、防衛・経済に関する諸案件を前に進めることにあった。

 防衛費増額の決意伝える

 会談で高市首相は「日米同盟の新たな黄金時代をトランプ氏と共につくり上げたい」と述べ、トランプ氏も「日米は最も強いレベルの同盟国だ」と応じるなど両首脳は同盟をさらなる高みに引き上げることで一致した。

 トランプ氏はトップ同士の人間関係を重視する傾向が強いが、終始和やかな雰囲気の中で会談は進み、高市首相はトランプ氏の信頼が厚かった安倍晋三元首相の後継者であることを強調。また、高市首相の前向きで率直な物言いや人気の高さが、参院選後不安定化していた自民党の政権基盤に安定をもたらしていることなどもトランプ氏に評価されたと言える。

 防衛問題について高市首相は、安全保障関連3文書の来年中の改定を目指し、防衛費を27年度に国内総生産(GDP)比2%に増額する目標を25年度中に前倒しする方針に基づき、防衛費を増額する決意を強化する姿勢をアピールした。

 経済では、日米関税交渉の合意に基づく5500億㌦(約80兆円)の対米投資を着実に履行することを改めて文書で確認したほか、レアアース(希土類)を含む重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化に関する覚書も結ばれた。人工知能(AI)などの先端技術や造船分野での協力を確認する覚書も閣僚レベルで結ばれた。

 高市首相は外交経験が少なく、しかも異例とも言える首相就任直後の日米首脳会談開催となり、十分な準備のための時間確保が難しかった。トランプ氏の行動は予測不可能なため、今回の会談は高市政権の今後を左右する重大な試金石となった。

 会談では日米同盟の強化を確認、信頼関係も築かれ、さらに安全保障や経済、経済安全保障といった幅広い分野での連携強化も図られた。警戒していたトランプ氏のサプライズも起きなかった。初の日米首脳会談で高市首相は成功を収めたと言える。

 一方、防衛費の増額幅では不満を残しつつも、米中首脳会談を前に日米同盟の強さを示し、対中関係で腐心しているレアアースの供給確保など経済安全保障でも日本との連携を強化できたことは米側にとっても満足いくものであったと思われる。

 もっとも米国は日本などアジアの同盟国について、北大西洋条約機構(NATO)と同様、防衛費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる必要があるとの見解を示しており、防衛費や在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の一層の増額要求が予想される。また、米国は液化天然ガス(LNG)を含むロシア産エネルギーの輸入停止を日本に求めている。

 独自のカラー発揮を

 これら諸課題に対する高市首相の手腕が問われる。その際、安倍政権の継承だけでなく、高市首相独自のカラーや戦略の発揮にも努めてもらいたい。

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