
中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第4回総会(4中総会)が、閉幕した。
総会で採択されたコミュニケは「内需拡大を堅持し、消費押し上げに力を入れる」とともに「科学技術の自立自強を加速し、新たな質の生産力の発展をリードする」と強調した。
中央軍事委で権力闘争か
消費を押し上げ内需拡大を目指すのは、米国との貿易戦争による外需減少を穴埋めしようというものだ。また先端半導体や人工知能(AI)、量子通信などハイテク技術の自主開発に力を傾注することで、欧米のハイテク技術の対中輸出規制を無効化し、他国に頼ることなく製造強国を目指そうというのだ。いずれにせよ米国との軋轢(あつれき)が増す中、チャイナリスクが高まる。
今回、総会で注目されたのは軍内部の確執の実態だった。軍の最高指導機関である中央軍事委員会の現体制は、22年に7人体制で発足したものの、3人が失脚し、残るのは同委主席の習近平国家主席や副主席の張又侠氏を含む4人だけとなった。総会は今回、正式に軍トップの一人である同委の何衛東副主席や苗華委員ら軍高官9人に対する党籍剥奪処分を承認した。
だが何氏や苗氏らは元来、習氏が腹心として同委に送り込んだ人物だ。それが粛清された政治的意味が焦点となる。今のところ、習氏と軍の実力者である張氏との間で権力闘争が起き、張氏が習氏の側近を切り崩した結果と観測される。
失脚した何氏に代わって副主席に指名されたのは、何氏や苗氏らを汚職で追及した張昇民・軍規律検査委員会書記だったが、同時に政治局員に指名されることはなかった。何氏が副主席に任命された時、政治局員にも指名された経緯からするとバランスを欠いている。また、失脚した中央委員の補充者11人の中で軍人は皆無だった。背景に見えてくるのは、党の権力を一手に握る習氏と軍を掌握した張又侠氏との確執だ。
だからといって台湾リスクが減ったと楽観してはならない。
普通の国では「内を治めてから外に当たる」が政治の常道だが、強権国家の場合、外に乱を求めナショナリズムを喚起することで内を収拾する伝統的手法が存在する。
コミュニケは「祖国統一という偉業を推し進める」として、台湾併合に改めて意欲を示すと同時に「国家の戦略能力を高め、先進的戦闘力整備を加速する」とした。中国は核戦力や極超音速ミサイル、ドローンなどの軍備増強に弾みをつけるものとみられる。
暴走止める安保政策を
わが国が教訓とすべきは、第2次世界大戦前の英首相チェンバレンの宥和(ゆうわ)政策が、ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーを増長させ侵略を招いたという歴史的事実だ。
その意味では対中宥和に傾斜していった石破茂前首相のくびきから早々に離脱し、習政権の暴走を食い止める安全保障政策を確立する必要がある。防衛力を整備し、わが国の外交・安全保障の基軸となっている日米同盟を深化させて「自由で開かれたインド太平洋」を実現することが肝要となる。






