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首相所信表明 迅速な物価高対策に成果を【社説】

衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=24日午後、国会内

 高市早苗首相が臨時国会で就任後初の所信表明演説を行った。自民党と日本維新の会が「日本再起」を目指す連立政権を新たに樹立し、国政のターニングポイントとなるか注目されている。まずは、物価高への対策など経済問題が焦点となった参院選から3カ月も経過しており、首相が表明した通り最優先課題として取り組み、成果を挙げてほしい。

 国家百年の大計見据える

 「強い経済をつくる。そして、日本列島を強く豊かにしていく」「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」。意気軒昂に抱負を語り、「日本成長戦略会議」の設置により、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障などに先手を打つ投資を行うと訴えた首相の所信には、国家百年の大計を見据えた未来志向のスケールがあった。

 が、結びに「事独り断(さだ)む可(べ)からず。必ず衆(もろとも)と与(とも)に宜(よろ)しく論(あげつら)ふ可し」と、聖徳太子が定めたと伝えられている十七条憲法からの引用で衆議を重視したように、少数与党の現実から政策一致で合意形成を求める透徹した政治姿勢を示した。

 「政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案をお受けし、柔軟に真摯(しんし)に議論」すると述べたが、その初舞台が臨時国会になる。安定多数を失った政権として、連立与党と野党各党との各レベルでの協議、折衝の労が一段と増すだろう。

 ここで首相が「国家国民のために諦めない」と強い決意を示したことは評価すべきである。ただ、自民と維新の間で調整を要する上、少数与党は政権運営に不利ではあるが、半面、野党側の国政に対して果たす責任にも有権者は関心を向けることになろう。

 その嚆矢(こうし)となるのは物価高への対応だ。首相は自民党が公約した給付金について、国民の理解を得られなかったと率直に認め、取り下げた。その上で「ガソリン税の暫定税率については、各党間の議論を踏まえ、今国会での廃止法案の成立を期する」と明言し、軽油引取税の暫定税率も早期廃止を目指すとした。ガソリン税暫定税率廃止法案を国会に提出している野党側の公約に応じたもので、ガソリン価格高騰に悩む庶民、業者のためにも着実な実行を期待したい。

 また、賃上げを含む物価高対策への取り組みの中で責任ある野党の出番が増え、どれだけ連携が増えるかが来年通常国会の懸案に臨む鍵となる。首相は「経済あっての財政」を考えの基本に置き、積極財政路線をとり「戦略的に財政出動を行う」と宣言した。「日本経済のパイを大きくしていく」ため「大胆な危機管理投資」を行うとした。果たして成長を促し債務を減らす好転となるか、政権の命運を決するだろう。

 国民の期待は大きい

 首相が訴えた防衛費に関する来年3月までの「対GDP(国内総生産)比2%」水準の前倒し措置、来年中の安全保障関連3文書改定、憲法改正などは、一部野党と対決を余儀なくされる。が、各種世論調査で内閣支持率は約7割と、政治の変化に国民が期待するところは大きい。まず合意できるものから迅速な実現を果たすべきだ。

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