トップオピニオン社説訪日3000万人 地方誘客で歴史体験提供を【社説】

訪日3000万人 地方誘客で歴史体験提供を【社説】

 今年1~9月の訪日外国人数が前年同期比17・7%増の3165万500人に達し、過去最速で3000万人を超えた。

 歴史的な円安などの影響によるものだが、観光立国を推進するにはオーバーツーリズム(観光公害)などの課題を克服する必要がある。

 滞在期間長い米欧豪

 アジアや欧米を中心に世界各地から日本へ旅行に訪れる人が増え、年間3687万人と過去最多を記録した昨年よりも1カ月早く3000万人に到達。今後の紅葉シーズンやクリスマス休暇で、初の年間4000万人突破が視野に入ってきた。2030年に6000万人に増やす政府目標の達成も現実味を帯びてきている。

 ただ主要な観光地では、観光客の急増で住民生活に影響が出るオーバーツーリズムが問題となっている。京都では桜や紅葉のシーズンにバスの混雑が深刻化している。東京、大阪、京都の3都府などを周遊する「ゴールデンルート」は訪日客の間で人気が高いが、都市部での受け入れには限界がある。これからも訪日客を増やしていくには、地方への誘客が欠かせない。

 誘客の鍵は、地方の観光地の知名度をいかに高めるかだ。日本交通公社などが24年10月に発表したアジアや米欧、オーストラリアからの訪日客への調査結果によると、ある地方観光地の存在を知っている人は実際にそこに行ってみたいと思う傾向が強い。訪日客を後押しする紹介の仕方を工夫したい。

 観光庁によると、長期滞在の富裕層には「日本の歴史・伝統文化体験」や「四季の体感」が人気だ。地方誘客の一環として、地域の有形・無形文化財をストーリーとしてまとめた「日本遺産」での歴史体験の機会を提供したい。訪日客のうち日本遺産のことを知っている人はさほど多くないとされており、その存在をもっと伝えてほしい。特に米欧豪からの訪日客は滞在期間が長いことが多く、富裕層も多いので主要なターゲットになり得る。

 ただストーリーなどを紹介する場合、日本人と外国人とでは日本の歴史についての知識量や関心のあり方などが違うことに注意する必要がある。訪日客の興味に沿った情報発信が求められよう。

 24年の訪日客の消費額は8兆円を超え、過去最高となったが、コロナ禍前の19年と比べ、宿泊費や娯楽サービス費などの割合が高まった一方、買い物代は減った。訪日客の消費傾向が「爆買い」などの「モノ消費」から体験を含めた「コト消費」に移行しつつあり、その意味でも地方誘客のチャンスが訪れていると言える。

 先の調査結果によると、地方の観光地を訪れる訪日客の場合、リピーターの方が初めて日本に来た人よりも割合が高い。リピーターを増やすことも地方への誘客につながるだろう。

 日本人向けのサービスも

 地方創生の観点からは、日本人観光客に観光地に来てもらうことも重要だ。

 宿泊単価は19年比で3割近く上がっている。日本人向けの情報発信や観光サービスにも知恵を絞りたい。

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