トップオピニオン社説高市氏選出 初の女性総裁に期待する【社説】

高市氏選出 初の女性総裁に期待する【社説】

自民党総裁の椅子に座る高市早苗新総裁=4日午後、東京・永田町の同党本部

 自民党総裁選で高市早苗前経済安全保障担当相が選出され、結党70年にして初めての女性総裁が誕生した。今月半ばに予定されている臨時国会では野党が対立候補を立てるのは難しいとみられることから、日本憲政史上初の女性首相が誕生することになる。その一事だけをもってしても日本政治の大きな変化であり、期待と希望を寄せたい。

 決選投票で小泉氏破る

 高市氏は小泉進次郎農林水産相との決選投票で国会議員票でも都道府県連票でも上回った。昨年の総裁選では1回目の投票ではトップを取りながら、石破茂現首相との決選投票で敗れた。今回は都道府県連票で36(小泉氏11)という圧倒的な票数となった。ここで示されたものは、昨年の衆院選、そして今年の都議選、参院選で3連敗を喫した自民党の再生に寄せる党員・党友の期待の大きさだ。

 高市氏は選出後の第一声で「自民党を気合の入った党にしていく。全世代、総力結集で頑張らなければ立て直せない。全員に馬車馬のように働いてもらう」と述べた。ある党員は「頑張れ高市ではなく、頑張ろう高市だ」と言った。当事者意識を持って共に臨もうという意気込みだ。幹事長をはじめとした党役員人事はこうした党員の願いを背負って「総力結集」されたものでなければならないだろう。

 その際、高市氏はいわゆる「不記載議員」にも働いてもらうとの考えを示している。党の処分を受け、選挙で審判を受けた以上、能力に従って「馬車馬」のように働かせ、有権者の負託に応えさせるのは当然のことだ。

 3連敗を喫した理由の大きな部分は、自民党が“正統保守”を逸脱しリベラル色を強めたことへの支持者の失望だった。皇位継承や憲法改正など重要問題での支持者への丁寧な説得が必要であり、スパイ防止法制定なども支持者の納得の上で党の考えを打ち出す必要がある。

 高市氏は選択的夫婦別姓制度の導入には消極的だとの批判があるが、高市氏自身が既に旧姓の通称使用を実践しており、現制度で何ら問題のないことを身をもって証明している。政治家として“ガラスの天井”を自ら打ち破ったことは、各界で働く女性の希望にこそなれ、彼女に“多様性”を注文するのはピント外れと言わざるを得ない。

 早速、連立協議に取り組むとしている。物価高対策も喫緊の課題だが、“失われた30年”で身に付いてしまった「安い日本」を再び強い日本に立て直すために、大胆な政策で協調できる連立を模索すべきだ。

 高市氏は米国で「ジャパン・バッシング」が猛威を振るっていた時期に、下院議員事務所でスタッフとして働いた経験がある。日米が緊張関係に陥る背景への理解もあると思われる。今月に予定されるトランプ米大統領との会談では過去の経験が生かされることを期待する。

 対中韓では人脈活用を

 中国、韓国は高市総裁の出現で身構えている。両国とも人脈を活用してコミュニケーションを取り続ける必要がある。韓国では、カワサキ・z400GPに跨(またが)り、ヘビーメタル、X JAPANを好む高市氏に関心を寄せている。最初の印象が肝心だ。

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