トップオピニオン社説総裁選と憲法 改正論議主導する指導力を【社説】

総裁選と憲法 改正論議主導する指導力を【社説】

街頭演説した自民党総裁選候補者ら=9月24日午後、東京・秋葉原(豊田剛撮影)

 自民党総裁選では、党是の憲法改正に関する候補者の主張も注目される。現憲法の条文は78年前の施行以来、全く変わっていない。新総裁には国内外の情勢の変化に対応するために改憲論議を主導し、実現への道筋を付ける指導力が求められる。

 憲法審会長を立民に譲る

 総裁選の5人の候補者は、いずれも党改憲4項目(自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実)の実現を目指すとしている。4日の投開票まで残りわずかだが、活発な論戦を通じて決意を示す必要がある。

 昨年10月の衆院選、今年7月の参院選で自民、公明の与党は大敗し、衆参両院で過半数割れとなった。参院選では「改憲勢力」の国民民主党や「新日本憲法」を掲げる参政党が躍進し、改憲に前向きな政党の議員数を合わせれば国会発議に必要な3分の2を超える。しかし衆院ではそこまでいかず、自民は両院の憲法審査会長のポストも改憲論議に消極的な野党第1党の立憲民主党に譲った。

 ただ、改憲の必要性が低下したわけではない。特に覇権主義的な動きを強める中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威が高まる中、日本の防衛政策を「専守防衛」とし、過度に抑制的にした憲法9条の改正は喫緊の課題だと言えよう。

 自民は自衛隊明記について、9条1項、2項の維持を前提としている。連立相手の公明が掲げる「加憲」を念頭に置いたものだろう。だが、戦力不保持や交戦権否認を定めた2項を残したままで「自衛隊違憲論」を払拭できるのか。

 9条は集団的自衛権行使を禁止しているとの解釈を改め、集団的自衛権行使を一部容認した安全保障関連法の成立から9月で10年が経過した。しかし、独立国に国連憲章は自衛権を認め、自衛権には個別的、集団的自衛権がある。日本は戦後、主権回復し1956年に国連に加盟した。当然、9条改正をすべきだ。また緊急事態条項の創設も急がなければならない。

 一方、「1票の格差」が最大2・06倍だった昨年の衆院選について、最高裁は「合憲」との判断を示し、選挙無効を求めた二つの弁護士グループの上告を棄却した。投票価値の平等の維持に努めることは重要だが、行き過ぎれば人口の少ない地方の声が国政に反映されにくくなるだろう。参院選の合区は地方の切り捨てだと言わざるを得ない。

 合区を解消するには、人口に関係なく各州から2人ずつ議員を選ぶ米上院のような制度を導入するなどの案がある。選挙制度を改革するだけでなく、衆院議員よりも任期の長い参院議員の特長を生かし、衆参両院の役割分担を明確にするためにも改憲が不可欠だ。

 立党の精神に立ち返れ

 自民は70年前の55年11月に誕生した。立党時の「党の使命」は「現行憲法の自主的改正を始めとする独立体制の整備を強力に実行」するとしている。

 与党過半数割れで危機の中にある自民は、立党の精神に立ち返って改憲の機運を醸成していくべきだ。自分たちの原点を忘れ、健全な保守の理念に基づく国家ビジョンを示せなければ再生の道は閉ざされるだろう。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »