イランに対する国連の制裁が復活した。2015年にイランの核開発阻止のために交わされた核合意は完全に崩壊した。
ウラン濃縮加速させる
イランは制裁復活に反発を強めている。18年の第1次トランプ米政権による合意からの一方的離脱を受けて、欧州は合意継続へイランとの交渉に取り組んできたものの、成果を挙げることはできなかった。一方でイランはウラン濃縮を加速させて既に濃縮度は60%に達しており、核爆弾製造まであと一歩というところまできている。イランとしては、制裁を回避しつつ国家としてのメンツを保ちたいところだろうが、合意復活を目指す欧州関係国との調整は不調、最終的に制裁は全面的に再開されることとなった。
イランは既に米国からの一定の制裁下にあり、制裁復活による国内経済への影響は限定的とみられている。さらに、中国、ロシアはイランを原油購入で支えている。制裁は監視を継続しなければすぐに穴が開く。科す側にとっても負担は伴う。
一方、中露は対欧米で連携を強めており、イランを巻き込み、反米連合へ一層、協力体制を強めることになるだろう。北朝鮮がこれに加わる。中国で今月初めに行われた抗日戦勝80周年の軍事パレードに、中露朝の3首脳が顔を並べ、友好をアピールしたばかりだ。視線の先にあるのは米国だ。イランが3カ国との連携を一層強化するのは必至だろう。
北朝鮮は、核開発を阻止しようとする国際社会から圧力を受けてきた。核拡散防止条約(NPT)離脱をちらつかせながら核開発を続け、既に事実上の核保有国だ。第1次トランプ米政権時の米朝交渉は決裂。米朝交渉に前向きなトランプ大統領は北朝鮮を核保有国として認めるのではないかという見方も出ている。北朝鮮は核開発阻止を棚上げすれば、米国との交渉に応じるとしており、足元を見られた格好だ。現在はミサイルなど、運搬手段の開発に血道を上げている。米国に届く弾道ミサイルの開発は時間の問題だろう。イランからのミサイル技術供与があれば、さらに早まる可能性がある。
イランは核兵器保有の意図を否定しているものの、北朝鮮を見れば、核保有まで漕(こ)ぎ着ければ、制裁下でも、体制は維持できると考える可能性があろう。中東に新たな核保有国が誕生することは、地域の不安定化に直結する。対立するサウジアラビアなど湾岸諸国が核武装に動く可能性もある。
6月のイスラエルと米国による核施設への爆撃でイラン体制は動揺した。「体制転換」の可能性も指摘されたものの、短期間で収束した。今後、再度イスラエル、米国による攻撃があれば、イランの体制が揺らぐ可能性はある。だが、これまで制裁に耐えてきたイランのイスラム聖職者支配が容易に揺らぐことはないとの見方もある。
フリーハンド得た格好
イランは制裁復活で核開発へのフリーハンドを得た格好だ。欧米は交渉の終わりではないと主張するが、手立てがないのが現状だ。イランの核武装阻止への新たな取り組みが必要だ。






