来月4日に行われる自民党総裁選に向けた各候補の議論は、当面の物価高対策などに集中し、人口減や東京一極集中、地方創生についての議論が低調だ。「静かなる有事」となっている人口減への対策に関する議論を深めるべきだ。
さまざまな政策掲げる
小林鷹之元経済安全保障担当相は「所見」で「『頑張れば報われる』と現役世代が実感できる日本をつくる」とし、所得税減税に加え、控除の在り方や税率構造を見直す税制改革で、子育て世代を含めた現役世代を支援すると訴えている。
茂木敏充前幹事長は「企業、人材、大学などの東京一極集中を是正し、地方から成長力を高める」とし、人工知能(AI)、半導体、データセンター、グリーン関連事業といった成長産業の地方への集積、拠点化で雇用を創出し、若年層の人口流出に歯止めをかけるとしている。
林芳正官房長官は「広域リージョン連携の推進、関係人口の増大、地方創生のための計画と実行の仕組み化」を挙げ、「人口減少地域等における行政サービスの提供など郵便局を活用した地域振興、郵政民営化法の改正」を掲げている。
高市早苗前経済安全保障担当相は「地方には、大きな『伸び代』がある。地方の『暮らし』と『安全』を守る」として「地域ごとの産業クラスター」を全国各地に形成して世界をリードする技術・ビジネスを創出し、地方のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進すると強調。地域公共交通の維持を支援するとしている。
小泉進次郎農林水産相は「地域の雇用や産業、コミュニティーを支える柱は農林水産業。担い手の確保、生産基盤の強化等と共に、世界につながる取り組みを展開」すると強調。観光も地方の基幹産業であるとし、地方の受け入れ環境整備、オーバーツーリズムの防止策推進を掲げている。
それぞれの候補が人口減対策、地方創生を重要政策として掲げ、その重点の置き方や施策の違いを見せている。さらに議論を深めることで、その政策の強みや弱み、実効性、課題も明らかになるはずだ。
地方創生は、石破茂首相が政権の最重要課題の一つとして掲げてきた。東京一極集中に歯止めがかからない中、石破政権が退場しても待ったなしの課題であることに変わりない。
全国知事会は8月、人口減少の危機は国を挙げて克服しなければならないとして、政府に司令塔となる新たな組織を設置すべきとする緊急提言を行った。知事会の人口戦略対策本部長の平井伸治鳥取県知事は「人口減少は喫緊の課題であり、マインドチェンジ、システムチェンジが必要だ。車の両輪として国と共に取り組んでいきたい」と述べている。
在京メディアにも責任
政府による司令塔組織の設置という重要な提言もなされているのに、総裁選で人口減や地方創生の議論が盛り上がらないのは、メディアにも責任がある。記者会見や討論会などで記者からの質問がほとんどない。在京の大手メディアがこの課題を軽視していることは問題だ。






