トップオピニオン社説パレスチナ承認 犠牲と戦火拡大への警鐘だ【社説】

パレスチナ承認 犠牲と戦火拡大への警鐘だ【社説】

ニューヨークの国連本部=2024年9月(EPA時事)

 ニューヨークの国連本部でイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指す首脳級会合がフランス、サウジアラビアの共催によって開かれ、フランス、モナコ、ルクセンブルク、マルタ、アンドラがパレスチナの国家承認を宣言した。

 イスラエルのパレスチナ自治区ガザへの侵攻が苛烈となり、「テロとの戦い」の大き過ぎる犠牲と戦火拡大に国際社会は警鐘を鳴らしている。

 自治政府が主導権握れず

 パレスチナを国家承認する国は国連加盟国の80%を超え、パレスチナ自治政府の国際社会における存在感は高まった。しかし、自治政府に国家運営ができるのかというと力不足は否めない。むしろガザ侵攻は市街地破壊、死傷者の増加、飢餓問題など人道危機が深刻化し、さらにレバノン、イラン、カタールにまで飛び火していることから、もはや看過できず平和解決を求める国際圧力の一環と言える。

 問題はイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)が和平協定を結んだ1993年のオスロ合意以降、自治政府が主導権を掌握できず、もともとオスロ合意を妨害してきたイスラム組織ハマスに奪われてしまったことだ。ハマスのテロ行為を取り締まる治安力がヨルダン川西岸の自治区に拠点を置く穏健派の自治政府にはなく、これまでもなす術(すべ)もなく野放し状態だった。

 ハマスは単なるテロ組織にとどまらない半ば軍事力を備えており、イスラエルを頻繁に攻撃してきた。イスラエル国家の消滅によるパレスチナ全土の「解放」を目的としており、ガザで慈善事業を運営する一面はあるが、イスラエルに対して地下トンネルを通じた越境攻撃、数千発に及ぶロケット弾攻撃を行ってきた。ハマス支配のパレスチナでは「2国家共存」はあり得ない。

 とりわけガザはハマスの拠点となり、反イスラエルの外国勢力の援助の受け入れ口になった。中でもイランはかつてのアハマディネジャド大統領が「イスラエルを世界地図から消す」と発言したように、同じ目的を持つハマスを支援していることで知られる。

 もともとイスラエルのガザ侵攻は、2023年10月7日に起きたハマスのイスラエルへの大規模襲撃から始まったものだ。襲撃では最大で6000人のハマス部隊がイスラエルに侵入し、250人を人質として連れ去り、外国人を含む1139人が犠牲になった。

 だが、ガザ侵攻から2年が経(た)とうとしており、パレスチナ側の犠牲者は6万人以上になった。イスラエルの過剰報復は10倍返しを優に超えている。テロ組織としてのハマス壊滅は納得できる国々も、一般人を巻き添えにガザを廃墟(はいきょ)にすることには納得できない。

 さらにイスラエルとイランのミサイル攻撃の応酬など、ガザ侵攻を引き金とした中東戦争への発展が懸念される。

 ハマスの影響排除せよ

 パレスチナを国家承認した国々がまず、パレスチナ側で「2国家共存による解決」に理解ある勢力を力付け、イスラエル消滅を目指すイラン、ハマスの影響を排除する努力が不可欠だ。

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