トップオピニオン社説スマホ条例 長時間利用見直しの契機に【社説】 

スマホ条例 長時間利用見直しの契機に【社説】 

 全国的に注目された愛知県豊明市のスマートフォン条例が成立した。

 家庭の事情に口を挟むなとの批判もあったが、過剰反応だ。むしろ、条例成立を機に、全国の家庭でスマホなどとの付き合い方を見直し、ルール作りが進むことを期待したい。

 「1日2時間以内」目安に

 10月1日施行となる条例は、スマホをはじめパソコン、タブレット端末などアプリで情報閲覧やSNS使用ができる機器を対象としている。これらを使う時間の目安として「1日2時間以内」と定めている。目安とはいえ、住民に対して使用時間を示す条例は全国で初めてだ。

 スマホの過剰利用で、特に子供の睡眠時間が短くなったり、親子の交流が減ったりする弊害が出ている。条例は子供の心身の成長に不可欠な睡眠時間の確保と、家庭内の会話を増やすことを目的に、小学生以下は午後9時まで、中学生以上18歳未満は午後10時までの使用とする目安も示し、家庭でのルール作りを促している。市や学校などにも連携して取り組むように求めている。

 今やスマホは生活必需品だ。電車に乗れば、乗客のほとんどが小さな画面をのぞき込んでいる。新聞を広げるサラリーマンの姿はほとんど見られなくなった。過剰利用を見直そうという機運が出るのは当然だろう。

 ただ、目安とはいえ、デジタル時代において、1日2時間以内は短過ぎるとの意見が出た。これには誤解がある。学習や仕事、家事などで使う場合を除いた余暇の時間帯の中での目安だから決して短くない。また、子供に限らず、寝る前のスマホ使用は、画面から発せられるブルーライトが脳を覚醒させ、睡眠を促すメラトニンの分泌を抑制することから、健康リスクが指摘される。

 長時間利用は視力の低下を招く。健康のため、適切使用を考えることは全国的な課題である。政府は健康への悪影響について研究を進め、その結果を国民に知らせて過剰利用を抑制させることを考えるべきである。

 条例案公表からの約1カ月の間に、市には電話やメールで賛否両方の意見が約320件寄せられ、この問題についての住民の関心の高さを示した。「家庭内で考えるきっかけになった」と好意的に受け止める意見のほか「行政が家庭の事情に踏み込むべきでない」との反対意見もあった。これは過剰反応だろう。

 条例に罰則規定はない。あくまでも家庭でのルール作りを促すための目安であって、具体的にどのように取り組むかはそれぞれの家庭で話し合えばいい。それが疎かになっていたことから条例が必要となったのであり、本末転倒の批判とも言える。

子供のSNS規制研究を

 スマホの過剰利用は、世界的な課題だ。特に子供のSNS使用についてはどこの国でも頭を悩ませている。健康を害するだけでなく、有害情報にさらされ詐欺被害に遭うリスクもあり、海外では未成年者の使用規制を強化する動きが強まっている。年齢認証というハードルがあるが、日本も子供のSNS利用規制研究に本格的に着手すべき時に来ている。

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