トップオピニオン社説日航機長の飲酒 事故招きかねない甘い管理【社説】

日航機長の飲酒 事故招きかねない甘い管理【社説】

機長による飲酒問題で国土交通省から厳重注意を受け、記者会見で謝罪する日本航空の鳥取三津子社長(右)=10日午前、東京・霞が関

 日本航空の国際線の男性機長が、滞在先で禁じられている飲酒をし、3便を大幅に遅延させた問題は、乗客の安全を最優先すべき航空会社であってはならない失態だ。再発防止に向け、安全管理の強化を徹底しなければならない。

 自主検査の日時を改竄

 この機長は8月28日のハワイ・ホノルル発中部空港行きの便に乗務予定だった。しかし、前日にアルコール度数9・5%のビール(568㍉㍑)を3本飲酒。28日朝から自主的な検査を何度も実施し、アルコール検知が続いたため、会社側に飲酒を申告した。この影響で3便が最大18時間半遅延した。

 日航は勤務開始12時間前の体内アルコール量(度数5%ビールでロング缶2本相当)の内規を定め、国の認可を受けているが、機長の飲酒量は内規の2倍を超えていたという。日航では昨年12月にも別の機長2人による飲酒が明らかになり、滞在先での飲酒を禁じた。しかし、この機長は滞在先での飲酒を繰り返し、自主的な検査を行った日時も改竄(かいざん)していたという。極めて悪質であり、乗客の命を預かって飛行機を操縦する資格はないと言わざるを得ない。

 それ以上に問題なのは、日航の安全管理体制だ。今年1月には、飲酒リスクの高い「要注意者リスト」を作ることを発表。この機長もリストに含まれていたという。それにもかかわらず、飲酒による問題を再発させてしまった。一歩間違えば事故を招きかねない事態だ。

 日航を厳重注意した国土交通省は「飲酒に関する社内での管理監督が十分だったとは言えない」と指摘。日航の鳥取三津子社長はこの機長を懲戒解雇するとともに、再発防止策の一環として飲酒リスクの高い運航乗務員を乗務から外した。

 鳥取氏は「対応に甘さがあった」とした上で、日航ジャンボ機墜落事故から40年となる8月に飲酒問題を起こしたことに触れ、「ご遺族を裏切った思いがある」と陳謝した。鳥取氏は事故のあった1985年に東亜国内航空(現日航)に入社。社長就任会見では「安全運航の大切さを次世代に継承していく強い責任感を持っている」と述べた。トップの考えが社内で浸透していなかったことは残念だ。

 このところ世界各地で大きな飛行機事故が起きている。昨年末には、韓国南西部全羅南道の務安国際空港で179人が死亡する旅客機事故が発生。空港に胴体着陸した旅客機が、滑走路を通り抜けて壁に衝突、炎上した。今年1月には米国の首都ワシントン近郊で旅客機と軍用ヘリコプターが空中衝突して67人が死亡。6月にはインド西部アーメダバードで旅客機が市街地に墜落して260人が犠牲となる事故が起きた。

 安全妨げる要素取り除け

 日本でも昨年1月、東京・羽田空港で日航機と海上保安庁の航空機が衝突。日航機の乗員乗客は全員機体から脱出したが、海保機では6人中5人が死亡した。悲惨な事故を防ぐには、飲酒の問題はもちろん、ハード・ソフト両面で安全運航を妨げる全ての要素を取り除かなければならない。日航は気を引き締めるべきだ。

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