
きょうは敬老の日。平均寿命が延び高齢化が進む中で、老後の生き方が日本人にとって大きなテーマとなっている。幸せで豊かな老後を保障するものは何かを改めて考えてみたい。
高齢者の就業率も上昇
厚生労働省の集計によると9月1日時点で、全国で100歳以上の高齢者の数は9万9763人となった。昨年より4644人多くなり、55年連続の最多更新となった。そのうち女性が8万7784人で全体の88%を占める。
統計を取り始めた1963年は153人だったが、81年に1000人、98年に1万人を突破。2012年に5万人を突破し、今や百寿者の数は10万人に迫っている。「人生100年時代」は現実となりつつある。
これ自体、日本が世界有数の長寿国家となったことの証しであり、喜ばしいことだ。長寿の人が多いことは、経済、社会の安定と医療の充実が背景にあることはいうまでもないが、近年の国民の健康意識の高まりも大きな理由と考えられる。
しかし、ただ寿命が延びれば安定した豊かな老後を送れるわけではない。老後の人生の質、幸福度を大きく左右するのが「健康寿命」だ。世界保健機関(WHO)が00年に提唱した概念で「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指す。
22年の日本人の健康寿命は、男性が72・57歳、女性が75・45歳。平均寿命との差は、男性が約9年、女性が約12年となっている。今後の健康寿命の延びは、人生100年時代を本当に明るいものにできるかどうか、その鍵を握るものとなる。
少子高齢化の中で生産人口が減少し、人手不足はさまざまな分野で顕著になっている。そういう中で、政府は「生涯現役社会」を掲げ、高齢者の就業率は上昇傾向にあり、23年には25・2%になっている。高齢の労働者は若い人には体力的に及ばない面もあるが、これまで培ってきた経験やスキルの蓄積があり、最近はIT技術を使いこなす人も少なくない。高齢労働者は人手不足解消に欠かせない存在となりつつある。
一方で、十分働いたから、後はボランティアや地域での活動で余生を社会貢献に捧(ささ)げたいという人もいる。また、趣味その他で悠々自適の生活を送ろうという人もいるだろう。それぞれの人生観、人生設計によって充実した豊かな老後を過ごせばいいが、それらの大前提となるのが健康寿命だ。
健康寿命の喪失は、本人の老後の生活の質を下げるだけでなく、周囲の家族や社会の負担となる。もちろん人間が年老いて誰かの世話になることも自然の摂理であり、それを通して周囲の人との絆を深め、関係を確認することの意味も大きい。しかし、あまり負担をかけたくないというのも人情だ。
生活習慣病予防の努力を
健康寿命を損なう代表的要因として、認知症、脳卒中、高齢による衰弱が挙げられるが、日頃から生活習慣病予防のために、食生活の改善、ウオーキングなどの努力を積み重ねていきたい。関節疾患、骨折・転倒などにも注意したい。






